第44話:神楽坂さんとパーティメンバー
翌日、神楽坂さんと同じパーティメンバーの子達がウチにやってきた。
「うわー!たかーい!」
と興奮しているのが天春 菫《 すみれ》さん、菫色の髪をポニーテールで纏め、へそ出しTシャツとホットパンツで着飾った女の子である。
「すっご…お金持ちじゃん…」
と少し驚きと困惑が入った顔をしているのが 夏風 蒼さん、青色の爽やかな髪とは別のダウナー系の女性でファッションも地雷系と呼ばれるタイプだ。
「すごいわねぇ~」
少しおっとり目の秋谷 紅さんはブラウスにロングスカートと暑そうな格好だけどケロッとしている、見ているこっちが汗をかく。
「凄い…(ボソツ」
最後に入って来た冬爪 翠さん俺より身長が低い、隠れた片目にだぼだぼな白色のパーカーを着ている、この中で一番暑そうなんだけど、本人曰く『日に当たるのが弱くて…肌がすぐ痛くなっちゃう』らしい。
「すみません、場所をお借りしてしまって」
「俺は大丈夫ですよ」
「私も大丈夫です」
「後デ優希さんが掃除ヲ、手伝ってくれるなラ」
「それ、メアリーの仕事だよね?」
「冗談でス」
「おいおい」
まぁ、話し合いが長引いたりしたら手伝おう。
「それで、鈴香は何の用事で呼んだの?」
「まさか、その男性のとこに転がり込んでるのが原因?」
「うーん結婚にはまだ早いと思うんですよ~」
「駆け落ち?」
「違うわよ!」
「まぁまぁ、神楽坂さん落ち着いて…」
とりあえずそこから昨日神楽坂さん両親とあった事を説明した。
「じゃあ何!そこのひとのせいで私達のデビューの件無くなるの!?」
「えぇ…予想外なんだけど…」
「あらあら~どうしましょう?」
「歌えなくなるの?」
「本当に、ゴメンなさい。でもデビューの件が立ち消えたかは、まだわからないの」
「ねぇ、神楽坂さん質問良いかな?」
「何ですか?」
「デビューって何の事?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「聞いて無いよ」
「聞いて無いわね」
「私はわかりませんネ」
「まぁとりあえず説明してよ」
「そうね…私達の5人は私以外がアイドルのオーディションで選ばれた人たちなの、特に探索者としての能力があって、それでいて容姿・歌唱・ダンスと3つの中から秀でた子達で組んで日本で…いや世界で初めての【探索者アイドル】としてのね」
「でも、俺は昨日巧さんに『アイドルをやらないか!?』って言われたんだよね」
「そう、世界が変わってまだ半年も経たず。今はネットの配信の普及のお陰で個人アイドル、地下アイドルにノウハウさえあれば、すぐ成れちゃう時代なの。そこに業界最大手とはいえ、探索者としての能力がある人ならって思ったんだけど、土俵の違う人たちがアイドルになるには時間がかかる。そこで養成所で頑張っていたこの四人に白羽の矢が立ったの。でも才能の塊である貴方がお父さんの目に入った、入ってしまったの」
「だからあんなに必死だったのか…」
「今はテレビも衰退期ですから、逆転を図るために試みた事なのよ。あなたというイレギュラーな存在が今世界から注目されている、そこで貴方がアイドルになれば世間が必然的に注目する、衰退しているテレビ業界も何だったらファッション雑誌、ファッションブランド、CM業界何でも復活するわ」
「そこまでは無理でしょ…」
「出来るのよ、ブームを作るのは業界よ、その業界最大手が手を組んで全力で注ぐの、ブームが作られる事は確定よ」
「そこまでなのか…」
「それに貴方、ルックスが相当良いのよ」
「え?いやいや何をおっしゃっている」
「貴方自分の顔の良さわかってないでしょ」
「わかってないね」
「わかってないのよ困った事に」
「一瞬、女のに見えたからねぇ…」
「上凪さんは、愛らしいお顔ですからね~」
「……ぐっ(親指を立てる)」
「わかってなかったんですカ…もっと自覚あるかト」
「え?えぇ…」
「とゆうかまだ優希は自分の見た目が悪いと思ってるの?」
「でも、ほら学校で散々言われたし…」
「それは私目当ての馬鹿共が、あんたを遠ざけようとしてたのよ」
「そうだったんだ…」
「寧ろ女子には人気あったわよ…隠れファンも意外と多かったし」
「えぇ…でもそんな人気があったように思えないんだけど…」
(異世界じゃ仲良くなったエアリス達は他のところに行っちゃったし…)
「そりゃ私が常に狙ってたからね、対抗してくる女子は勝ち目無いとわかってたから避けてたのよ」
「そんな事が…」
「まぁ上凪さんの残念エピソードは置いといて、私のお父さんとお母さんは上凪さんとあわよくば耀さんをアイドルにしようと画策しています」
「ちょっと待って!それは私も聞いて無い!」
「でしょうね…上凪さんを引き込んで、甘い汁を吸わせ、手駒にした後、別の女性を宛がえば、耀さんから離れる。その後は巧みに誘導していけば落とせると踏んでるんでしょう…」
「ムカつくわね…その評価…」
「仕方ないですよ、そんな事を考えるのが嫌な大人ですから」