第12話:神様と明かされる力【改稿版】
「うぅ……まぶしい……」
眩しさに目を覚ますと、以前神様が居た空間に再度つれてこられていた。
「ごめんね~起こしちゃったかな?」
陽気な声の方を振り返ると、やっぱり神様がそこに居た。
「あー神様ですか、おはようございます」
「テンションひくいな~」
神様は俺の肩を掴んで、ゆさぶってくる。
「さーっきーまーでー、寝ーてーたーのーでー、あーたーまーがーはーたーらーかーなーいーんーでーすーよー」
がっくんがっくんしながら答える。
「そっかーほいっ」
神様はそう言うと指パッチンで指を鳴らす、すると一気に目が覚め頭が冴えた。
「とりあえずこれでよしっと……はい、お茶も出したし飲もうよ!」
相変わらず、強引な神様だねぇ……。
「酷いなあ……僕は君の事を思って……」
「ナチュラルに心読まないで下さい」
「え~んいけずぅ~」
あんた神様でしょうが!しなを作るな!しなを!
「いいじゃんか~かまってよぉ~」
抱き付いてくる神様、引き剥がすのも悪いので、そのままにして席に座る。
「とりあえず……ここに呼んだのは遊ぶためですか?」
「いいや、ちがうよ~」
「もしかして、また何かありました?」
「無い無い、大丈夫だよー」
「じゃあ何で?」
「いやいや、君の事だよ」
「俺の? んん?」
思い当たる節が一切無い……なんだろう?
「ほら、探索者だっけ? あれの適性で【ジョブ】部分が表示されなかったじゃん? あれの事だよ」
「あー、あんまり気にしてませんでした……異世界じゃ【勇者】だったんですよね俺」
ただでさえあっちの世界じゃ勇者様と言われたり、【勇者】ともてはやされたりで本当に恥ずかしかった。
まぁ、3年目になったら慣れたけど。
「そうそう、君は向こうの世界じゃ【勇者】だったんだけど、今は進化しててね…【英雄】になってるんだよね」
「は?」
「いや、だから勇者の上の【英雄】になったんだ」
「それって、前の【勇者】より強くなったって事ですか?」
「そうだね、潜在的な能力は上がってるから〝将来的〟には前よりもかなーり強くなってるよ。でも、今はまだ体が出来上がってないから、向こうの身体で受け入れられてた力は受け入れられないんだ」
「それ、前にも言ってましたね」
「良かった、あの時は神力がまだ回復しきってなかったから、説明した分を優希君の記憶と同期できてるか心配だったんだ」
ほっとした表情を見せる神様、それよりも聞きたい事が別にあるんだけど……。
「そうそう、【英雄】の事だよね?」
「そうそう、って思考を読まないで下さい」
「あはは~ゴメンねぇ~それでなんだけど、【英雄】の最高到達点は、神様に届くくらいなんだ」
なんか衝撃的な事を言われた……。
「マジですか? それって過剰じゃないんですか?」
「うーん……まぁ向こうの世界と混じってるからね念の為、保険としてだよ」
「それって、あの邪神より強いのが出てくるって事ですか?」
恐ろしく強かった邪神を思い出す、神様が力を削いだり、神器や仲間たちが居たからこそ倒せた。
またあんな奴が……この世界に現れたらと思うと……。
「んー大丈夫だよ、そうはならない様に神も頑張るし、それよりも神が心配してるのはあの世界のモンスターの強さだね」
「そうでしたね……ゴブリン1体くらいなら子供でも倒せましたけど、俺は最初ダメダメでしたね……」
勇者として召喚されたのに、子供でも倒せるゴブリンにギリギリの戦いだったし、死にかけてお姫様に『え? 弱すぎない? 本当に勇者なの?』と凄い呆れた目で見られたもんなぁ……。
そうなのだ、あの世界の住民の戦闘力はこっちの世界より遥かに高かった、一緒に旅をしたお姫様のエアリスですら、ナイフ1本でゴブリンを圧倒的に倒せる程、基礎的に強いんだ。
「それに少しダンジョンのモンスター自体も強くなってるんだよね」
「え……それは本当ですか?」
「そうなんだよ、君の世界の銃ってあるじゃん。それの拳銃の弾、何十発も耐えれちゃうんだよね。100発とか撃たれたらさすがに死ぬけど、だから倒すなら機関銃位じゃないと安定して倒せないんだよ」
それってこっちの人倒せるの?無理じゃね?
「だから力を与えたんだよ~、銃と違って剣とかは不安定な体内の魔力を通しやすいからね」
「あーそれって、銃弾だと手から離れて飛んでいくから、不安定な魔力が維持出来ないって事ですか?」
「Exactly!」
今度はジ○ジ○ネタですか……
「電子書籍って便利だよね~」
「え?ここ電波飛んでるんですか?」
「飛んでるよー爆速のWi-Fiが」
どの位速いんだろう……。
「阿〇寛さんのホームページが、瞬きする前に変わるくらい」
だから地の文に返さないで下さい……。
「あはは~それは置いといて。さっき優希君が言った通り、普通の人が使う銃弾はゴブリンに対してもほぼ効かないんだ、でも魔力を乗せるのが上手い人だったら向こうの世界と同じ様に矢でも倒せるよ」
「そうなんですね、じゃあ弓とか使える人もいるんですね」
「そうそう、今はまだ発見されてないけど実は居るんだ」
「そうなんですね、でもこの世界の弓かぁ……」
「まぁ優希君は弓よりも投げナイフとかのが使いやすいだろうけどね」
「あ、そうか。わざわざ弓とかよりも魔力が残りやすい投擲物のがいいのか」
「そうだね。一般の人もだけど微弱でも魔力が乗れば、十分に刀剣類で倒すことが出来るからね魔力の制御をする必要もないし」
それは良い事聞いたな、でもそうか、異世界に居る時は銃なんて無かったもんな。
と、妙にこの世の原理を考えていると、思い出したことがある。
「そうだ、神様。耀はなんで魔法使いに?」
「あー、それは君の影響だね。君の進化した【英雄】の力だよ」
「力を分け与える能力ですか?」
「まぁ、似たような感じだね」
「うーん? まぁそれは後々わかるか……」
「そこは自分で見て考えてほしいな、制約は多いけど、鑑定の能力もあげたし」
鑑定……鑑定!?
「えぇ、いいんですか!? 向こうの世界じゃかなり希少でしたよ!?」
「そこは自分の力と向き合って欲しいと思ってるからね。まぁ僕は、君がどんなに凄くて、強い力を得ても悪用しないと思ってるから……」
「神様の、その俺に対する信頼はなんですか……」
異世界の勇者にしたり、こっちの世界で凄い力を与えたり……なんか凄く信頼されてるんだよなぁ……。
「うーんとね、実は君の事は、異世界に転移させる前から見てたんだ」
「えっ? えぇ……それって」
「待って!! 引かないで! 一応これでもね、神はいくつかの世界を管理してるんだ! その中で目をかける人くらいは居るから!」
「そうだったんですね……つまり神様にストー……げふんげふん、目をかけられてたから異世界に呼ばれたんですね!」
「今ストーカーって言いかけたよね! ひどくない!?」
「いや…ほら、前と違って、今の神様ってフレンドリーだし友達感覚だから……」
「えっ…(トゥンク)」そう口に出しながら神様は顔を赤らめる。
「いや、口にしたらわざとらしいですって……」
「あはは、凄く嬉しいよ。それにとりあえずそうゆう事なんで、君に力を与えても問題ないかなって、思ってるんだ♪」
コロコロ変わる表情は、優しい笑みを浮かべる。
「わかりました、大事な友達の為です。自身の力をしっかり見つめて、間違った使い方はしないようにします!」
ホント真っ直ぐな、感情には弱いんだよなぁ……。
「そうゆうとこもお気に入りの一つだよ♪」
「だから心を読まないでくださいって……」
その後他愛ない雑談を終え、神様は神力回復の為寝るといっていたのでお暇する。
目覚めると7時過ぎのいつも起きる時間であった。
(とりあえず、鑑定の力を試してみるか……)
「鑑定……あぁ、出た出た。ジョブ【英雄】について……」
そう呟くと、目の前によくな〇う系漫画で見るようウインドウが目の前に出てきた。その内容を見て俺は顔を顰めた。
≪英雄≫
【勇者】が進化したジョブ、異世界を救った【勇者】を神様が進化させた。
複数の固有能力を持つ。
固有能力:【英雄色ヲ好厶】
・愛を誓った者や、契りを結んだ者を庇護対象とし、多い程強くなる。
・相手から思われることが重要、自身と心を通わせれば更に強くなる。
・逆に愛想尽かされたり、想いが揺らいだりすると弱体化する。
〈能力が強くなる順〉
伴侶>両思い>恋慕>好意の順で強くなる。
・好意の嵩増しはあるが、両思い以上の存在にしか対象とならない。
【開放能力】
・庇護下に属する者の能力が上がる。
・庇護下の能力が扱える。(庇護下の者も、素養があれば扱える)
・????
固有能力:【英雄譚】
・困難や難関を乗り越えると強くなる。
・取り残された人や囚われの姫を助ける際、爆発的に強くなる。
・強敵であればあるほど自身が強くなる。
「マジかよ…」
俺はその場で頭を抱えるのだった。
作者です。
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