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第40話:神楽坂さんと警察へ

パトカーに乗せられ神楽坂さんと警察に来た、来たんだけど来て早々俺は個室で詰問されていた。


「なぁ、自作自演なんだろ?」


「えぇ…」


「悪くは言わねえ…あんな玩具用意してまであの坊ちゃんを病院送りにしたいだなんてなにがあったんだ?」


「いやあれは本物の俺の手なんですけど…」


「今は精巧な偽物が作れるからなぁ…ごまかしなんていくらでも効くのよ…なぁ…ホントの事言っちまおうぜ。あれは精巧な玩具でお前は久墨議員の息子に恨みがあっただから殴る為に細工をした、そうだろ?」


「だからあれは俺の手で…」


何度目かのやり取りに気が立ったのか警察官のおじさんは机を『ドンッ』と叩いて立ち上がる。


「嘘言ってるんじゃねーよ!!!お前の手は今引っ付いてるだろ!!あんまり生意気な事言ってると虚偽申告でもう一つ罪状増やすぞ!!」


「はぁ……だから虚偽でも何でもないですよ…」


「この…クソガキが!!!」


「そう言って刑事さんは、取調室の外へ出て行った」


残った書記の警察官の方は向うを向いたままだ。


(ふぅ………面倒な事になったな…)


何がって…俺が捕まってると知ると暴走しそうな人達が多いって事だ…


特に耀と巴ちゃん、その二人が正直やばい。耀は武力行使は辞さないだろうし、巴ちゃんは厳徳さんという権力を悠々と使うだろう。


後者は厳徳さんに煽られるのが目に見えてるから正直頼りたくない。


(しかしこのまま長引くのは本当に勘弁したい、神楽坂さんの状態もわからないし、それと昼食も食べてないんだから)


「あのーすみません、今何時ですか?」


「………」


「はぁ…」


それからしばらくの間、残った警察の人に話しかける度に無視をされ取り付く島もなかった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

それからそのくらいたったかわからないけど、(多分2時間くらい)経った頃先程とは真逆の柔和なおじさんが入って来た。


「上凪優希君、今回は申し訳ない事をしたね。私はこの警察署の署長の近藤です」


「あ、はいご丁寧に……」


「先程はすみません、あの人は署内でも乱暴で有名でね。我々が話を付けてくる前に好き勝手やってたみたいだね…謝罪させてくれ」


そう言って署長さんは頭を下げる。


「大丈夫ですよ、まぁ昼食がまだだったのでお腹が空いたくらいですけどね」


「それは失礼な事をした、この後時間は大丈夫かね?事のあらましを説明したいんだが…」


「俺は大丈夫ですよ」


「よかった、それじゃあさっさとここから出よう。いつまでもここに居ちゃ鬱屈な気分になっちゃうし」


そう言って扉を開けて出ていくのでそれに俺も続く。


「そうだ、一緒に連れてこられた、神楽坂さんはどうしてます?」


「彼女は今別室で保護しているよ、彼女は明確な被害者だし、君は一応正当防衛が成立するけど…すぐに立件とかは難しいかも…」


「そうなんですか?一応俺手を切り落とされたんですけど…」


「そこなんだよ、正直今回の傷害事件、物的証拠が二つあるんだよ…一つは治りきった君の左手ともう一つは切り落とされた左手、血は出てるし押収した剣に付着した君の血と切り落とされた君の手、双方の科学捜査待ちだなぁ…ただ問題があってね…この件はもみ消される可能性があるんだよ…」


「やっぱり、彼の親ですか?」


「いや、彼のお爺さんだね」


「彼のお爺さんですか…そう言えば(興味なくて)聞いたこと無いですね」


「あはは…あまり表には出てこないからね、彼のお爺さんのお兄さんは財閥トップでほら聞いたこと無いかい神堂しんどうグループホールディングスって、お兄さんが戦争で亡くなった後にその役を継いだんだ、そして戦後復興や会社を大きくした手腕から戦後の内閣の一員だったんだ」


「俺でも聞いたことある企業です……凄いですね…」


「それもあってか大分無理をする人でね、何度ももみ消しに動いてるんだよ」


「こんな事何度もやってるのかアイツ…」


「それこそ立ち向かうにはどこか大きな家なら…まぁそこまで行くと日本が揺らぐ様な事になるかもね」


日本有数の会社群の神堂かぁ…そりゃ子供の時から凄い爺さんに甘やかされれば、あんなにアホに育つわな…


「あ、ここだここだ。ここの待合室に彼女さんは居るよ」


「いえ、彼女では無いですよクラスメイトです」


「あっ、そうなんだ。ずっと彼女が心配してたからてっきり恋人さんかと…」


「それに俺、婚約者居ますから」


「そうだったのかい、これは失礼」


苦笑いで署長さんが扉を開ける、中に入るとソファに座っていた神楽坂さんと目が合う。


「上凪さん!!」


涙目になっていた神楽坂さんが立ち上がるとの目から涙が溢れた。


「ごめんごめん、待たせちゃったね」


「遅いですよ!心配したんですからね!」


相当待たせてしまったのか…怒り始める。


「ごめんて…そんなに心配してくれたんだ」


そう返すと湯沸かし器の様に顔が赤くなる。


「そっそれは!友達ですから!」


「そっか、ありがとう」


「カップルの様なやり取りですね」


「そっ!そんな訳ありません!!」


「流石に神楽坂さんに悪いですよ」


「いえ、私は別に…」


「やっぱりあなた方カップルでは?」


「違います!」


「話が脱線しましたね、とりあえずお座りください」


そう言って署長さんはソファーを促す。


神楽坂さんと隣り合わせで座ることになるが気にしないでおく。


「すみません、ソファーの数が足りなくて…」


「大丈夫です」


「だっ、大丈夫です」


「ではあらましを説明しましょう、この度は上凪さんは一応の被害者ですが、科捜研の情報が出揃わないと立件は難しいですね…相手は気絶していて病院ですから。それと神楽坂さんの方は暴行罪及び強要未遂が適用されるね、えっとすれ違いざまにぶつかってしまった後に土下座の要求とこれはひどいな……ともかく強要された訳だ、これは立件できるけど…どうする?」


「両親に聞いてからでも大丈夫ですか?」


「わかった、でも出すなら早くしてね」


「ありがとうございます」

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