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第35話:トレンド入りしてるんだけど…

翌朝起きるとメアリーの姿は既に無く、耀が気持ちよさそうに寝ていた。


朝の特有のまだ暑くは無い、からっとした風が吹いた。


そちらを見るとメアリーはいつものメイド服でバルコニーに居た。


立ち上がり近づいてもぼーっとしている。


「メアリー、おはよう」


「優希さん……おはようございます」


「どうしたの?珍しいものでもあった?」


「いえ…両親との約束を思い出してました」


「どんな約束?」


「家族みんなでいつか海を見ようね、というありふれた約束です」


「あったかな家族だったんだね」


「はい、私とママとパパの三人で楽しく暮らしてました、ママには怒られ、パパに泣きつき、パパもママに巻き込まれて怒られる、でもそんなママの優しい部分もパパのおっちょこちょいな部分も……大好きでした」


「すごく楽しそうだね」


「はい、今となっては思い出だけですけど」


そう言うメアリーは視線を逸らさず遠くを見つめている。


「じゃあ、いつか会った時はメアリーが今見てる海を、目一杯伝えなきゃね」


「そんな事はありえ……そうですね…いつかその時が来ても良いように沢山の思い出を作らないといけないですね」


そう言ってメアリーの顔が優しくなる。


「そうそう、その為にも……まずは耀を起こして朝食かな?」


踵を返すと幸せそうな顔で寝ている耀が見える。


「優希さん……」


「どうし……」


メアリーの呼びかけに振り向くといつの間にか近寄っていたメアリーに触れるだけのキスをされた。


「コッコッこれハ!邪神かラ開放してもらっタ!お詫びでス!!それト!色々助けてもらった事も!入ってマス!!!ありがとうございましタ!!!!」


驚いた俺を尻目に、矢次早に理由とお礼の言葉を言ってメアリーは階下へと飛び降りて行った。


「びっくりしたぁ…」


思わず唇を撫でると今しがた触れ合ったメアリーの感触が思い出される。


「ふっふっふー、みーちゃった」


背後で耀の声がして振り返ると不敵な笑みを浮かべていた。


「ひ、耀…見てたのか…」


「えぇ…しかしあれだけ優希に対して表に出してなかったメアリーがねぇ…」


「え?どういう事?」


「そこまで気にしなくていいわよ、決心すればメアリーから言うでしょ」


「そっか…気持ちはメアリー次第だもんね」


「それより…んっ」


耀は私にもして欲しいといった感じで唇を突き出してくる。


「んっ…おはよ耀」


「おはよ優希」


それから復活したメアリーが戻って来るまで耀といちゃいちゃしていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆

1時間後、俺と耀はメアリーに呆れられていた。


「全ク、私が迎えに来たラとんでもない光景が広がってましタ…」


「ゴメンて」


「いやーついつい盛り上がっちゃって…」


「良いですヨ、どうせこれからも見る事になりそうですかラ…」


「「え?」」


まさかメアリーにそんな趣味が!?


「ナニ考えてるんですカ、私はそんな趣味ハないですヨ」


「じゃあどうして?」


「うーン…正式に私が紡さんの家に就職しテ、優希さん達が住む部屋の管理をすることになりましタ」


メアリーはそう言うとメールを見せてきた。


「そうか、これからもよろしくな」


「あまリよろしくやってるとこ見せられるのモ、毒なのですガ」


「それは、時と場所を考えます…」


「ま、私も慣れないトいけませんからネ、思春期の男女が居たラ盛るのも当然ですシ」


「そんな…人を動物みたいに…」


「否定、出来るのですカ?」


「そこはノーコメントで」


「とにかくそうゆう事デ、よろしくお願いしまス」


そう言ってメアリーは微笑みながら綺麗なお辞儀をした。



◇◆◇◆◇◆◇◆

朝食(既にお昼だが)会場のレストランへ到達して席に通されると異質な光景が広がっていた。


「おう、やっと来たかユウキ」


なんかリッカルドさんがここにいる。


「ここに居ないはずの人が見える」


「何言ってる、依頼をしたんだから顔見せに来るだろ」


「それはわかるんですが、言ってくれれば出向いたのに」


「いやいや英雄様に来てもらうのも悪いだろ」


「その英雄様ってやめてくれませんか…」


「もう流石に無理だろ…」


そう言って部下の人が持ってる新聞を手渡してきた。


「えっト…『サルデーニャの英雄巨人ネフィリムを撃破!島に平和が訪れる!』だそうでス」


その見出しに俺は天を仰いだ


「凄いね優希、ネットニュースにもなってるよ」


そう言って耀がスマホを見せてきた。


そこには『日本の探索者上凪優希、イタリア・サルデーニャ島で巨人を倒し英雄になる』と書かれた見出しがトップに来ている。


「うそん…」


「ねぇねぇ優希、落ち込んでるとこ悪いんだけど、もう一つ残念なお知らせが」


そう言って耀が再度見せてきたスマホの画面にはSNSのトレンドに俺の名前が載っていた、しかも"若干(弱冠)16歳"とか"サルデーニャ島"とか"サルデーニャの英雄"等々載ってる。


「いやぁ~有名人だねぇ〜」


「そう言う耀も載ってるぞ」


「ありゃりゃ…しかもトレンド1位、これで私も有名人か…どうしよう、これで芸能人から交際の申し込みとか来たら…」


「ふぇ?」


突然な言い方に変な声が出た。


「あぁ違う違う、優希の考えてる様な事じゃなくて。断るのが非常に面倒なのよ、ああいう芸能人でいきなり交際申し込んでくるとかって割りと傲慢な人が多いじゃん、それでそういう人ってプライド高いから無駄に勘違い男が多くて、こっちが断ってるのに、謙虚だからお断りしてると思ってるみたいで諦めないのよ…」


思い当たる節があるのか本当に面倒そうな顔をしている。


「そもそも、私は優希が最上級で至高の存在なのに、なんで優希より上だと思ってるのか本当に意味が分からないのよね…しかも優希の事馬鹿にして俺なら満足させられるとか何者よマジで!あぁ思い出すだけで鳥肌が立つ!!」


やはり思い当たる節しかない様だ…本当に嫌そうな顔になってる、これがテレビなら視聴者にはお見せ出来ない程だ。


「まあ落ち着けお前達…今はそんな事考えてる場合じゃないぞ?」


見兼ねたリッカルドさんが宥める…


「どうしてです?」


「いや、これからパーティだから」


「はぇ?ぱーてぃ?」

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