第32話:耀への報告と家族との夕食会
「いやいや、デートはしてないよ?」
「せっかく二人で出かけたんだから、もったいない…」
「シチリアに着いてから直ぐに。マフィアのトップの人と会う事になってね」
「えぇ…」
「昨日最後に助けたエメラルダさんがリッカルドさんの娘でそのお礼が言いたいって事だったんだ」
「そうだったのね」
「その時に今回の事を受ける話に、なったんだけどね」
「そうそう、聞きたかったのはその依頼の話よ」
「サルデーニャ島のダンジョンに現れる巨人ねぇ…」
「確認されたのは昨日の事で、動画サイトに映像が数個あがってるだけなんだ」
「被害は出てるのかしら?」
「確認してなかったけど、多分出てるよね。じゃなきゃ依頼なんて来るわけ無いし」
「とりあえず食事の後、それこそ日付変わった後に連絡するつもりだよ」
「時差あるものね…じゃあそれまではいちゃつけるわね!」
「程々にして下さい…」
「私も戦うことになるし、加減はするわ」
「そうだ、耀の方はどうだったの?」
「私の方?そうね…聞きたい?」
耀の顔が途端にげんなりした。
「何があったの?」
「いや、空気が甘いのなんの…」
「ネットゥーノ洞窟っていう鍾乳洞や国立公園でイルカ見たり夕焼け見てたりしたんだけどね……もういちゃついてるのなんの、これは私達に妹か弟が出来る勢いね」
「何かゴメン…」
「いいのよ、おかげでインストラクターのお姉さんとは仲良くなれたし」
見せてもらった写真はレースの入った青色のモノキニという言う水着に白いパーカーを羽織りインストラクターのお姉さんと映え写真ばかり撮っている耀であった。
「すっごい可愛いな、それに海も綺麗でいいね」
「そうなの!昼過ぎの写真は春華ちゃん達も居る優希嫁グループに送ってるわよ」
「なにその空気読めみたいな語呂のグループは…」
「無論私たち近況報告グループよ?優希とデート行った時とか、写真を撮ったときなんかもそこで共有してるし」
耀がスマホを見せてくる、そこには春華と冬華と巴ちゃんの三人で『温泉旅行に来てます!』という写真が三人のコメントと共に色々な写真が送られている。
足湯を楽しんでいる写真、三人で買い食いをしている写真、夕食を美味しそうに眼を細め食べている春華ちゃん、何故かエビを咥えている冬華ちゃん、滅茶苦茶綺麗に食べてる所の動画を撮られている巴ちゃん。
三人の幼馴染がとても仲良さそうにしている所が写っていた。
つい三人の楽しそうな姿に口元が緩んでいると、耀がこっちをみて微笑んでいる。
「ん?どうした耀?」
「いやー優希が偶にする、その楽しそうな顔が好きだなぁ…と思って」
「なんだよ、恥ずかしいなぁ」
「いいじゃない」
「それと、これも見て欲しいって送られてきたわよ」
「耀ちょそれは!」
耀が見せてきた画像は目を背けるものだった。
「いいじゃない、私が優希とした報告をしたからだとは思うけどね」
「だからってその自撮りは不味いでしょうが」
そこには三人が各々全裸でポーズをした自撮りの画像がだった、しっかりと胸の先から太ももの奥まで見えてしまっている。
冬華はまだこうゆうことやるのはわかってたけど、春華や巴ちゃんまでやるとは思ってもなかった、想定外だけど衝撃的過ぎる。
「しかも何で耀が持ってるの?」
「いや、普通に優希に送ると見てもらえないからからじゃない?消すでしょ?」
「まぁ…うん確かに見ないし……多分消す」
「でしょ?それでどうだった?」
「どうだったって…何が?」
「興奮した?」
「そんな、ドストレートに聞くな!」
「いや、これは正直大事な事だよ?」
「え?」
「何だかんだ言って、皆は優希の事は好きだけど、好きになって貰えてるかわからないって不安になるよ。これから変わるにしても今まで日本は一夫一妻制だったし。私と優希がエッチをしたって聞いて、皆自分に魅力があるのか心配になったんじゃないかな」
「それは…」
「もう、とにかく私も心配だったし!その内個別に一日づつデートして、目一杯優希が甘やかして愛情注いで来なさい!返事は!」
「はい!」
「ならよろしい!ならご飯行くわよ」
そう言って耀は俺の手を引っ張って立ち上がった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「父さん、母さん、誠吾さん、エリナさん改めて紹介すると、俺と耀の友達のメアリー・アーリンストンさん、元々孤児で今は巴ちゃんのお屋敷で働いてる人だね」
「ど、どうモ。よろしくお願いしまス」
「俺は優希の父親の慎司だ、こっちは妻の優佳」
「よろしくね、メアリーちゃん!」
「私は耀の父親の誠吾、こちらは私の妻のエレナ」
「ヨロシク!メアリー!」
「はイ…」
がちがちに固まったメアリーに母さんとエレナさんが近づく、聞こえない程の小声で何か話してる。
「メアリーちゃん今まで大変だったね、ウチの優希が迷惑かけることもあるけど友達として助けてあげてね」
「ソウデース、固くならないでいいのよ!耀の友達としてこれからもよろしくね」
『それと、本当に優希の友達かしら?』
『どうも匂いマース』
『何の事でしょうか……』
『全く、ウチの息子は本当に、誰に似たのやら…』
『ホントウに凄いですね…4人目ですか?』
『いえ、この間、巴ちゃんの前に連れてきた子も居るし。メアリーちゃんで5人目…かしらね』
『…………スゴイわね』
『『頑張りなさい』』
『はぃぃ……』
二人から解放されたメアリーは顔が真っ赤になっていた。
髪を伸ばして貰えたメアリーです。