第28話:黒幕、登…場…?
豪華な部屋、豪華な食事、豪華な服装……………そしてめっちゃ厳つい人達。
メアリーの事調べてたらマフィアのお屋敷に招待されてた、うーん…どうしてこうなった?
「なあメアリー、この状況どうしよう?」
「まぁ、縛られたり銃を突きつけてる訳じゃ無いですし、状況としては悪くないかと」
その元凶になった男をちらりと見ると滝の様な汗をかいていた。
「はぁ……」
溜息をついて対面に座る相手を見る、この一帯を取り仕切るマフィアのリッカルドさん。歳は60歳に行かない位の壮年の男性、シルバーの髪をオールバックで纏め濃いパープルのスーツを身に纏っている。眼光も鋭いし、油断出来無さそうな人だ。
「どうしたもんかねぇ…」
なぜこうなったかを思い返す。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それは俺が狸寝入りで時間を稼いで1時間、高速道路から降り市内は車を走らせる途中だった。
「優希さん」
「あぁ」
「なんだよ?また秘密のお話か?」
「今回はそうではないです。」
「うーん…囲まれてるよ?」
「え?マジで?」
「この2車線道路に入ったらだけど、横と後塞がれてる」
「前は塞がれてないし今なら逃げれんじゃ…あれ?」
「「塞がれ(まし)たね」」
前の車が減速し車間が詰まる、そのままこちらも減速させられ止められる。
「さて…」
「そうですよね」
車内の後部座席から小銃を持った人たちが降りてくる。
「Esci dall'auto se capisci cosa sto dicendo(俺の言葉はわかるな、早く車から降りろ)」
俺はわからないけどこの状況では降りろと言ってるのは理解できる。
「仕方ない、降りようか」
「そうですね」
「何で君らそんなに胆座ってるの?」
「まぁ正直俺とメアリーは逃げれますから」
「ですね、私達は余裕で逃げれますよ?」
「じゃあ、逃げろと言いたいけど…見捨てないでぇ……」
「di cosa stai parlando Scendi velocemente!(何をべらべら喋ってる?早く降りろ!)」
「ひいいいいいい」
さっきまで散々ハードボイルドとか語ってたのに……
「とりあえず降りましょうよ、ほらめっちゃ怒ってますよ?」
そう言って俺とメアリーはささっと降りる。
「そうだ、メアリー鞄は良いの?」
「まぁ大丈夫でしょう」
「bambino? Allora voi due dovreste andare da questa parte.(子供か?なら二人はこっちに乗れ)」
そう言って丁寧にエスコートされ車に乗せられる。
釘寺さんは別の車に乗っている、それから10分ほど走りお屋敷の前に到着するとドアが開いた。
「Scendi e segui le nostre istruzioni(降りてこちらの指示に従え)」
「降りてついてこいだそうです」
「ありがとうメアリー」
車から降りてお屋敷の中へ入る。
ホールがあり奥には階段がある、中世くらいの歴史ある建物っぽい感じがする。
いつの間にかメイドさんがこちらの傍に来ていて流暢な日本語でどうぞいらっしゃいました、ボスがお待ちですと言われた。
「おわっ、日本語!?」
耳なじみのある言語がすっと入って来たのでびっくりした。
「はい、母が日本人で習っております」
「そうだったんだ」
「では、こちらへどうぞ」
そう促され階段を上がり2階に上がる、廊下を歩き扉を開ける、ここはドレッサールームらしい。
「まず、こちらで着替えてもらいます、お付きの方もですね」
「はい」
「わかりました」
その後アリーチェさん(名前を聞いた、因みに名字は林だそうだ)に体の寸法を測られ用意されたスーツを着る……ぴったりだ。
そうして先に部屋の椅子に腰かけ待っていると女性用の更衣室からメアリーが黄色のドレスで出てきた、肩はレースで透けていて、胸の部分は大きくサイズアップしている。
「じろじろ見るな、恥ずかしい」
前とは違い少し照れたような感じでメアリーがもじもじしている。
髪も少し切りそろえられていて腰下くらいまでの長さになっていた(前は膝くらいまであった)。
「うん、黄色のドレスが良く似合ってる、グレーの艶がある髪と相まって凄く綺麗だよ」
「ちょっ…恥ずかしいの禁止です…」
「いや…ほら…女の子がおめかししたら褒めるのは常識じゃん?」
「優希さんのは威力が高すぎるんですよ………」
そう言うと俯いてしまう。
「ふふふ、仲がよろしいんですね」
「まぁ俺は仲良くしたいとおもってますよ」
「私はそんなに…最低限で良いです…」
「あらあら、振られちゃいましたね」
「残念ですね」
「んんっ~~~~」
無言でバシバシ叩いてくるメアリー。
「いたっ、痛いって」
丁度その時もう一人のメイドさんが入って来てアリーチェさんに耳打ちしてる。
「Grazie」
あ、これは俺でもわかる『ありがとう』だ。
「そうしたら、準備ができましたのでボスの所に案内しますね」
アリーチェさんを先頭に廊下を歩き、俺達は重厚な扉の前に立たされた。
そうして軽くノックして「Capo, ve ne ho portati due.(ボス、二人を連れてきました)」と言い扉を開けた。