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第23話:サルデーニャ島救助作戦②

最後の患者を治療し終わり尻餅をつく


「メアリー、他の緊急を要する人は?」


「今の所ハ、大丈夫デス、即死してしまっタ人も居るのデ、完全には全員無事とはなりませんが…それでも沢山の人ヲ救えまシタ」


「あ、耀さんモ帰ってきましたネ」


見ると遠くから耀が車の助手席に乗ってきていた、だが様子がおかしい。


「なぁ、メアリーなんか嫌な予感がする」


「はイ、私もデス」


すると車は土煙を上げ停止する。


「優希!」


「どうした耀?」


「助けてくれ優希!」


車から転げ降りてきたのは頬が煤コケたレオナルドだった。


「どうしたんだ?」


「俺の妹が…俺の妹が…」


「分かった!場所は耀が知ってるか?」


「えぇ!」


「優希サン!ヘリなラ、すぐ動けまス!」


「任せた!レオナルド、貴方の妹はどうなったんだ?」


「車の助手席で…潰れて…」


「息はしてたのか?」


「あっ、ああ!」


「じゃあ行こう!死んでないなら助けれる!」


レオナルドを立たせヘリへ乗せる。


「お願いします!」


「マカセトケ!!」


ヘリの操縦士のおっちゃんがサムズアップをする、日本語喋れたんかい。


そうして飛び立ったヘリは、ものの5分で耀が指定した場所に着いた。


「耀ここか?」


「えぇ!」


「じゃあエミリー後は任せた!」


「了解でス、近くに降りる場所を探しまス!」


扉を開き俺と耀はその体を空中へ翻した。


30m位の高さを風魔法を使い降りる、周囲を見回すと樹にぶつかった車が2台あった周囲にはガソリンの匂いが充満している。


(既に事故が起きてから2時間近く経っている、この状態でよく爆発も燃えもしなかったな)


「耀、氷魔法で周囲の温度を下げよう…なんかあった時引火しない様に」


「わかったわ」


土魔法で庇を作り氷魔法で周囲の温度を下げていく、前にSNS見た知識では軽油であれば引火点が高い事、ガソリンだったら駄目だろうけど一応予防策は取っておく。


(魔力が足りるかな…一応倒れても対処できるようにしとかないと…)


事故を起こした要因のもう一台の車は別の樹にぶつかっている、中は確認したが人は乗っていない様だ。


「優希、レオナルドの妹さん居たよ!」


耀のその声に車へ近づく、そこには16歳くらいの女の子が居た。


「じゃあ耀、その子の足か下半身は見える?」


「見えるけどどうして?」


「クラッシュシンドロームが起きてないか調べないと」


「クラッシュシンドローム?」


「救助に携わる父さんから習ったんだけど、長時間体の部位に血の巡りが無いとその部分にたまった血が原因で死んじゃう事があるんだ、それがクラッシュシンドロームって奴」


「見てみるわ。左足のふくらはぎ辺りから足の色が変わってる」


「じゃあ太ももの上を縛ろう、紐とか無いから…Tシャツで良いか。耀、縛ったら俺が車とこの子の間に隙間を作るから引っ張り出して」


自分の着ているTシャツを裂き耀へ渡す、耀が縛ったのを確認して車を身体強化した体で無理矢理引き延ばす。


「任せて!」


「ぐぬぬぬぬぬぬ!!!!」


ギリギリと音を立て隙間が広がっていく、なんか筋肉も切れた音したけど気にしないで力を籠める。


「優希!動いたよ!OK、引っ張り出した!」


「ふぅ…」


その場に四つん這いになり、軽くヒールを掛け立ち上がる。


(とりあえずパーフェクトヒール1回分はあるかな)


事故現場から離れ妹さんにパーフェクトヒールを掛けると限界が来たのか、視界がぼんやりしてくる。


「あー耀、限界だわ…多分救急隊の人来るからクラッシュシンドロームの事だけ伝えて、俺は少し眠るわ…」


「わかったわ。お疲れ様、恰好良かったぞ」


「そいつは最高の誉め言葉だわ」


そうして俺は意識を手放した。


◇◆◇◆


「知らない天井だ」


目が覚めて魔力も回復したのでスッキリした心地だ。


「服は…なんか、お土産コーナーで売ってる微妙にダサいシャツになってる」


寝かされてるベッドは病院のものらしく起きると体がバキバキ鳴った、怖いのでヒールを自分に掛けておく。


「さて、耀達はどこかな?」


靴を履いて病室の外に出ると看護師さんと目が合った。


「Un eroe si è risvegliato!(英雄の目が覚めたわよ!)」


大声で叫ぶと今まで人の少なかった廊下にぞろぞろと人が集まってきた。


皆一様に「アリガトウ!」と言って去っていく。


その後人が捌けた後に耀達がやってきた。


「目が覚めたのね英雄さん」


「英雄!?そんなんじゃ無いよ?」


「いいやお前は英雄だ!」


そう言って割り込んできたのはレオナルドだった。


「あぁ良かった。レオナルドの妹さんは大丈夫だった?」


「あぁ、ユウキ達の応急処置が早くて的確だったから大丈夫だ、今は透析ってのをしているよ」


「よかったぁ…」


俺は胸を撫で下ろす、間に合ってくれてよかった。


「ありがとうな…本当に、妹…エメラルダまで居なくなったらどうしようかと…」


その後妹さんの様子を見に行って、眠っていたのでレオナルドとはそこで別れた。


タクシー乗りもう夕方になっている道を三人でホテルへ戻って行った。

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