第9話:やばいかも……。【改稿版】
――ピンポーン。
その時、俺達の番号が電光掲示板へ表示された。
「ほ、ほら耀! 順番来た来た!」
「う、うん……」
2人で顔を真っ赤にして行ったせいか、測定受付のお姉さんに不思議がられてしまった。
受付を済ませ、パーテーションで区切られたスペースへ行く。それからお姉さんへ書類を渡す。
「はい、ありがとうございます。上凪 優希さんですね、私は渡部と申します。この度、登録お手続きの説明をさせていただきます」
「よろしくおねがいします」
「まず、こちらの機器に手を置いてください」
なんか計測機器みたいなものが出てきた、俺はその上に手を置き待つ。
「そうしたら、少々お待ち下さい…………はい、大丈夫です」
「これで終わりですか? なんか簡単ですね」
「はい、検査はこれで終わりです。原理はわかりませんが、上凪さんがどのジョブかわかるようになっております」
「へえ、便利なんですね」
「ただ、計測結果が印刷されてくるまで少し時間がかかるんです。ですので先にこちらで、探索者になる為の重要事項をご案内させていただきます」
「はい、よろしくお願いします」
それから渡部さんから、探索者としての説明を一通り受けた。
要点としては
・ダンジョンに定期的に潜る事でお給料が貰える(無論、学生でも)。
・ダンジョン内部にある成果物を持ち帰る事によって、特別手当(非課税)を受け取れる。
・成果物とは、ゴブリン等のモンスターの討伐部位の事で持ち帰る必要がある。
・指定されたモンスターの討伐報酬も有り。
・ダンジョン内外での探索者同士による喧嘩は禁止(能力の使用は法律違反にもなる)。
・探索者が、一般人への危害を加える事は原則的に禁止(正当防衛は可)。
・上記2点が守れない場合、資格の剥奪や罰則等もある。
・学生の場合、検査にて優秀な職が出てた場合。政府直営の新設校への受験、転入が出来る。
・ダンジョンでの成果を多く出すことで上記の新設校への転入も出来る(その場合、返済不要の奨学金が出る)。
より細かい部分はや説明等あるが、ざっとこんなものだ。
「以上が簡単な説明となります、簡単なパンフレット等もお渡ししますので、一度お目通しを」
「わかりました、丁寧にありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。上凪さんの様にしっかり聞いて頂ける方には説明のしがいがあります」
そうして渡部さんの説明が終わる頃、検査結果の用紙が発行された。
「あの、上凪さんの検査結果が発行されたのですが、上凪さんのジョブに少し問題がありまして」
「問題……ですか?」
思い当たる節しか無く冷や汗がどっと流れだす、オマケに悪い事はして無いのに俺の鼓動が速くなる。
「問題……ですか?」
「はい……ジョブの部分なんですが、表記がおかしくなっておりまして。厳密に言いますと文字化けをしてしまってるんです」
「文字化けですか……」
良かった……また、【勇者】とか何か凄いものが出てくるのかと思った。
「はい、読み取らさせていただきました情報を、何度か出力したんですが。その全てが文字化けしてしまって、現在読み取れない状態となってしまっているんです……もう一度計測機に手を置いていただけますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
もう一度計測機に手を置く、それから少し待つだが出て来る結果は全部ジョブの部分が文字化けしてしまっている。
「やっぱり、駄目みたいです……」
「そうなんですね。まあ、急いで許可証が欲しい訳ではないので、大丈夫ですよ。でもそれだと不都合が出ちゃいますよね?」
「はい、ですので確認してまいります。少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
「わかりました、ここで待って居れば良いですか?」
「はい。では一度、失礼いたしますね」
そう言って渡部さんは奥のブースへ行った、なんか奥がざわついてるな?。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから20分後、戻って来た渡部さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみません、上に確認したところ。暫定的に【戦士】として登録する様に言われまして。申し訳ありませんが、そちらで登録をさせていただきます」
「知らない装置なんですから、どこかしらでエラーくらい出ますよ。頭を上げてください」
頭を上げた渡部さんは証明書を渡してくれる、まぁ【戦士】だろうがなんだろうが別に構わないかな、やる事は決まってるし。
「ありがとうございます、後日もう一度来て頂けましたら結果が変わるかもしれませんので」
「わかりました。それでしたらまた、期間を置いて来てみますね」
「はい、この度は本当に申し訳ございませんでした」
もう一度頭を下げる渡部さんにこちらもぺこぺこと頭を下げる。
それから個室から出て、待ち合い所に戻ると、耀と見知らぬ女性が二人一緒に居た。
作者です。
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