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掌編小説  作者: kj
6/12

猫たちの良い一冊

 ここは猫たちの集まる図書館。

 家猫野良猫関係なく、様々な猫たちが集まる憩いの場。

 その図書館では毎日、本好きの猫たちが今日も議論に花を咲かせていた。

 一匹のぶちの猫が椅子に座り、他の猫達に一冊の本を見せた。

「僕がおすすめするのはこの本にゃ」

 ぶちが手に持つのは料理本。美味しそうなオムライスがでかでかと表紙に載っていた。

 本は他の猫達に手渡され次々と回される。パラパラとページをめくり、感触を確かめるように本を眺める。

 ミケの猫がその本を片手に言った。

「こんなんじゃ、全然楽しめないにゃあ」

 ぶちはその言葉に憮然とする。渾身の一冊だったのだろう。

「じゃあどんなのがいいのにゃ? みせてみろにゃ!」

 ミケは余裕の笑みをうかべ自分のおすすめの本を取り出した。

 取り出したのは、厚手の百科事典だった。魚の細かな絵が詳細に描かれている。

「そ、そんなの安直にゃ! 持ち運ぶのも一苦労にゃ!」

 ぶちは少したじろいだ。表紙の魚にかなりそそられたのだろう。

 まあまあまずは手にとって見るにゃ、とミケはぶちに本を手渡す。

 ぶちは恐る恐る辞典を受け取るとさっきと同じようにパラパラとめくる。中身に釘付けになりそうなのを必死に我慢しながら本を閉じた。そして感触を確かめるように本を撫でる。そこまでして、ぶちはがっくりとうなだれた。

「完敗だにゃ……。そっちのほうが数段上にゃあ」

 ミケは勝ち誇り背筋をピンと伸ばした。

「まっ、またいつでも勝負は受けるにゃあ」

 魚の辞典を手に取り偉そうにミケの猫はその場を去っていった。

 ぶちは同じ魚の百科事典を図書館から借りてきた。

 適当な場所を探し本を開く。うまそうな魚を見ながらおもむろに――爪を突き立てた。

 ガリガリと爪をこすりつけていく。

「こんな絵を見ながら爪を遂げるなんて最高にゃあー」

 そこは猫の図書館。猫にとって最高に気持ちいい爪が磨げる本が並んでいるのだ。


図書館、猫、笑う、の三題噺です。

擬人化して書いてみましたがもうちょっと猫の可愛らしさとかをかければよかったと思います。

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