13-6
「ひ、ひえ……」
「たすけて、たすけて……!」
「お母さん……」
あの恐竜っぽい奴の正体がはっきりしてから、こちらは総崩れだった。
みんなその場で座りこんじゃってるし。
ひえ、お漏らししてる人もいるよ……。
あたしもエレナが居なかったらちびってたかも、他人事とは思えない。
「動ける方! 動けない方を馬車で運んでください! ここはわたくしとウィーンさんが引きつけますのではやく!」
そんな中でも、ミカエルとウィーンは毅然に振舞っている。
やっぱ凄いよこの人、嫌な奴だけど認めるしかないよ。
あたしがここに居ても、足手まといになりそうだし……。
エレナと一緒に逃げないと……。
「俺とゆきも戦うぞ!」
ちょ、ちょっと!!
無理だって!!
あんなん勝てるわけないよ!
「いや、お前らはいい。早く下がれ」
そ、そうだよ。
ウィーンの言う通りだよ。
エレナが活躍していい成績修めたいってのはわかるけどさ、やっぱ生きててこそだよ?
「いいえ、エレナさんとゆきさんには残っていただきます。残っていただかたないと困ります」
えっ。
困るって言われてもあたしが困るよ!
あんなのとどう戦えと!
はっ!
まさか、あたしの勇者の手袋の力を期待してる……?
剣でズババって攻撃して、相手の攻撃をコロリンって華麗に回避して……?
いやいやいやいや!!
だからあたしアクションゲーム苦手だって!!
難易度易しいの相手でも規定回数体力無くなってゲームオーバーになったくらいだよ?
「ミカエル様! ですが!」
「ウィーンさん、ここはわたくしに任せてください」
「……ご無理だけはなさらないで下さい」
「やっぱ俺らの力が必要だよな!」
「そうですね」
う、うーん。
これは逃げられないパターン……。
「ゆきさん、エレナさん。過去の蟠りを捨てて、一緒に戦ってくれますか?」
ミカエルはこっちを見据えながら、手を差し出している。
背後から日の光がさして、まるで後光のようになっていて……。
すごい、綺麗かも。
「おう! 俺はもう気が済んだからな」
「エレナがそう言うなら……」
「ありがとうございます」
そ、そうだよね。
今は気にしている場合じゃないよね。
よーし!
うちの最強魔法少女と組んで、あの恐竜みたいなのをやっつけるぞー!




