13-3
戦場へはまるで戦車のように重装甲に仕立てた馬車に乗って向かっていく。
相変わらずガタガタしてお尻が痛かったけども。
そして第12闇討伐拠点、北西の広場にて。
「うわっ……、なにこれ」
本で読んだり、授業で習ったりはしてた。
でも見るのは初めて……。
なんかこう、光の帯みたいなのと真っ黒なもやもやが常に押し合っている。
真っ黒なもやもやがある先は何も見えない。
地面も真っ暗、先の景色も真っ暗、空だって真っ暗!
「なんだ? ゆきは闇を見た事が無かったのか?」
「う、うん」
なるほど、これが闇って奴だね。
確かにこんなんに飲みこまれたらどうなるか分かったもんじゃないね……。
あと、さっきから背筋がぞくぞくしてるけど、これも闇の影響なのかな?
そう思っていた時。
黒いもやもやの中から、同じ色の犬っぽい影みたいな物が次々と出てきた。
「闇の出現を確認! 数は100! 狼型! 危険度ランクはD!」
その直後、近くの監視塔に居た兵士の人が、大声で叫んだ。
「さあ、いくぞ」
「うん!」
い、いよいよ戦いだね。
あたし頑張らないと!
手袋に意識を集中させて……。
剣を出すイメージを頭の中で描いて……。
「やあっ!」
やったあ!!
成功した!!
しかも片方しかなかった時よりもなんか剣が大きいし、ぼやけているのも少しマシかも。
これはきっとパワーアップかも?
「おー、それがゆきの新しい力か?」
「うんうん」
「いいじゃねえか」
「えへへ」
しかもエレナに褒められた。
うれしいなあ。
そんな気持ちの中、犬型の影のようなもが次々とあたしに襲い掛かってくる。
「やー!」
正直、剣なんて振るった事はない。
前世でコスプレした時に偽物を少し持ったくらいだ。
だから使える自信は無かった。
「とりゃー!」
学生の頃の部活動は文化系だったし、運動も出来ない。
だから、ゲームとか映画の戦闘シーンを参考にして、動きをイメージした。
そうしたら、意外とその通りに動けてしまい……。
あたしに噛みつこうと飛びかかってくる犬型の影を、斬ってちぎって投げ捨ててしまう。
うひょー!
「やるじゃねえか! ゆき!」
「う、うん!」
自分の事だけど、あたしだってびっくりだよ!
イメージした動きがほぼその通りになるんだもん。
これも手袋のおかげ……?
こうして、あたしやエレナ、他の魔法少女見習いも次々と犬型の影を倒していき……。
「片付いたようだな」
「ふー、終わったね」
さすがにランクDなだけあって、楽勝だった。
周りのクラスメイトも誰も怪我していなさそう。
なんだ、意外と楽勝だね!
ふふふふ……。
実はあたし強い……?




