12-6
エレナ視点。
俺とセフィリア、学園長はゆきを見送った。
「俺も戻る、じゃあな」
ゆきも居ないし、俺の気も晴れたからな。
もうここに長々といる理由もないだろう。
部屋に戻って寝るかな。
「エレナさんとセフィリアさん」
「なんだ?」
「あら、なんでしょう?」
そう思っていた時、学園長が俺を呼び止めてきた。
妙に顔つきが真剣だ、どうしたんだ?
「百合バーストを受けて、何か変わった事や気がかりな点はありますでしょうか?」
学園長、一体何言ってるんだ?
変わった事?
気がかりな点?
「どういう意味だ?」
「学園長、意図が分かりません」
「先ほどもお伝えしたとおり、百合バーストはマジックバーストよりも魔法力の上昇幅が大きいです。強くかけすぎると破滅するくらいにね」
「言ってたな」
「ええ」
「ゆきさんは無意識のうちにセーブしたのか、未熟なのか、強くかけすぎるという事はありませんでした。……ですが、それでもまだまだ未知の能力である事に変わりはありません。故に、どのような副作用があるかも知れません」
「で、俺達を心配してくれたってわけか」
「そうです」
あぁ、そういう事か。
なるほど理解した。
「俺は何ともねーぞ」
「私もです」
それなら何ともない。
破滅って聞くからにはタダでは済まなさそうな感じだろうけど、今のところ痛いところも無ければ体調だって崩していない。
セフィリアも同じなのか、笑顔で無事を伝えている。
セフィリアか……。
確かに俺なんかよりもしっかりしてるし、将来有望だし、ゆきとお似合いかもな。
……って、何考えているんだ俺は。
しいて言うなら、この何だかよく分からない感情だな。
間違いない。
「それなら良かった。では、私も執務に戻りますね。失礼します」
俺らの無事を確認出来て満足したのか、学園長はゆっくりと歩いていき部屋から出て行った。
「んじゃ、俺も戻るわ。またな」
さて用事も済んだし、俺も部屋に帰るか。
「あの」
「どうした?」
「気になりませんか?」
「百合バーストのさらに先の話か? もういいだろ、そんなに死にたいのか?」
「それもありますけども……」
あ?
まだ何か気にしているのか?
「学園長は、どうしてそこまでゆきさんと百合バーストに関わってくるのでしょう」
「さあな、ゆきが気に入っているんじゃないか?」
「ただの贔屓なら良いのですが」
百合バーストという特異な能力を持つ生徒が出来て、学園長は嬉しいんだろ。
ゆきは明るくて、人当たりもいいしな。
それだけじゃないのか?
何を考えている?
「何かもっと、大切な事を隠しているような気がしておりまして」
「ふーん……」
「エレナさん、学園長の様子に注意してください」
「別にあの人がおかしな真似するとは思えんが……、まぁ気には止めておく」
「ありがとうございます」
まぁ、あれだ。
セフィリアは考えすぎってやつだ。
だいたい、学園長が何を隠す?
隠して何の得がある?
ありえんだろ。




