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くっそー!
もうこうなったらどうにでもなれだー!
「さあ! どこからでも来なよ!」
こういうのは相手になめられちゃだめだ。
漫画だと背景にゴゴゴゴゴゴとか出そうな雰囲気を見せつつ……どうしかしないと。
「この気配……、実はかなりの使い手……?」
幸いにも相手はびびって魔法を撃ってこない。
きいてるきいてる、よしよし。
あたしは魔法は使えない。
どんな虚勢を張ったところでばれるのは時間の問題だ。
でも実はあたし、やけくそになった時に一つだけいい方法を見つけたんだ。
それが効くかどうかは分からないけども、今はそれにかけるしかない。
だから相手に魔法を撃たせないようにする必要があった。
いきなりどーんと魔法ぶっぱされたら、作戦もなにもないからね。
そして、あたしの虚勢作戦はまず上手くいった。
だから、次の一手は……!
「でもその前に、これ読んで!」
「はい?」
「いいから!」
起死回生の一手。
それはあたしの描いた同人本を読んでもらう事だ。
今のあたしが誇れるのは自分が描いた同人本の内容だけだ。
現世では売れなかったけども、異世界でも同じになるなんて誰が決めた!
ここであたしと共感し、あわよくば共闘出来れば……!
「敵にわざわざ魔法の書を渡すとは……、よいでしょう。読みましょう」
って読むんだそこ……。
今は細かい事はおいといて……。
よしよし、罠にかかったぞ。
あとはしっかり読んでもらって。
…………。
…………。
…………。
…………。
「な、なんなんですかこれは!」
「えぇ……」
相手の女の子は顔を真っ赤にしながら、同人本をあたしの方へ投げつけてしまう。
声も裏返っているし、めっちゃ効いてるじゃん……。
「こ、こここんな内容だなんて! さては私の心を揺さぶる魔法ですね!!」
「いや、別にそういうのじゃ……」
「ゆ、許しませんわっ!」
効いたのは事実だけども、どうみても逆効果だった。
女の子は顔を真っ赤にしながら杖をこちらに向けると、何のためらいもなく火の玉をあたしの方へ発射してきた。
も、もう駄目だ!
今度こそ終わりだ……!!!
ううぅ……、さようならーー!!