12-2
エレナ視点。
MA学園内の広場にて。
俺は右手で頭をくしゃくしゃと掻きむしる。
なんだこの感覚……。
いったい、どうしたっていうんだ。
今までこんな事は無かった。
この学園に来る前も、来てからもだ。
だがあいつと過ごすうちに俺は変わっていった。
最初は気のせいだと思った。
そして極めつけはあいつのあの言葉だ。
”そうだ、セフィリアも来るんだよね?”
”じゃあまた3人で戦おう? そうすれば生き残りやすくなるし!”
なんだよ……。
どうしてそこでセフィリアが出てくるんだよ……。
俺じゃ駄目だってのか?
「あ゛ーーー!!!!!!」
そう思うとますます気持ちが悪くなって、俺は発散するために叫んだ。
ちょっとは楽にはなったような気がする。
「はぁ……」
しかしそれも一時。
またもやもやとした何かが湧いてきやがる。
「クソっ、なんだってんだ……」
そうやって自分の感情を持て余している最中。
「おや、どうかしたのですか?」
「あ?」
「レディーが大声を出すものじゃありませんよ」
「……っるっせーよ」
なんだ、学園長か。
レディー?
何緩い事言ってるんだ?
所詮俺らは闇と戦う兵士だ。
今更淑女ぶって何になるっていうんだ。
知るかよ。
…………。
…………。
そういえば学園長、かなり年だったな。
聞いてみたら何か分かるか?
「なあ学園長」
「なんでしょうか?」
「ゆき、どう思う?」
「ゆきさんはいい子ですよ。一生懸命ですし」
「だな! だよな!!」
「それで、あなたはどう思っているんですか?」
「え……?」
ば、ばかっ!!
俺が聞いてるんだろ!!
質問に質問で返すなよ!!
「お、俺は別に……なんでもねぇよ……」
そうだ、ゆきとは何でもない。
全ては成り行きでしかない。
あいつは俺の何なんだ?
俺はあいつの何なんだ?
同じ魔法少女の見習いってだけだ、それだけだ。
「若さですね」
「……わけわかんねえよ」
「訳が分からないならば、私が代弁しましょう」
「はぁ?」
「”俺はゆきが好きだ―! そして俺とゆきの仲を邪魔するセフィリアは許せないー!”」
「おまっ!!」
ちょっ!
な、なにいってる!!!
んなわけねえだろ!!
仲を邪魔するとか、ゆ、ゆきが好きとかそんなの……///
「ふ、ふざけるなっっ!!!」
「じゃあセフィリアさんの事をどう思っているんですか?」
「べ、べつにどうもねえよ……」
そんなの……、ねぇよ。
全部成り行きなんだよ。
「本当にそうですか?」
「あのなぁ……」
「なら、あれを見てもどうでしょうか?」
なんだ?
学園長が指をさしてる。
む……?
お、おい……。
「あぁ? ……はあああ!!!!!!!」
あそこってセフィリアの部屋だよな!!
なんでゆきが一人で入るんだよ!!
司祭の娘で、あいつも成り行きで、好きとか嫌いとかそういうのとかじゃなくって!!!
「行きましょうか。私もちょっと気になる事があるので」
「当然だ!!!」
考えるのがもうめんどくせえ!!!
直接行ってみてやる!!
待ってろよゆき!!!




