11-10
「じゃあいくね」
「はい」
エレナと同じ様に、セフィリアに抱きついてっと……。
おお、やわらかい。
特にお胸!
エレナもそこそこあるけど、セフィリアは特に大きいなあ。
「ふふふ、ゆきさんは可愛いですね」
「う、うぅ……////」
や、やだっ。
頭なでられちゃった。
すごいどきどきしてる……。
「ゆき」
「う、うん」
「私は必ずあなたを守りますよ。だから安心してくださいね」
よ、よびすて!
普段はさん付けなのに!
せ、セフィリアの顔がだんだん近く!
「ん……」
「んふぅ……」
…………。
…………。
…………。
…………。
「追いついたぞ! さあもうこれで逃げる事は出来ぬ……」
「じょ、助祭様!」
「あ、あれは!!」
儀式は全て終えた。
あたしの思いとセフィリアの思い。
それらは混じりあい、一つの力へと昇華してゆく……。
「な、なんだと!!!」
「天使様!」
「天使様が来られた!!」
その結果、セフィリアの背中から光の翼が現れ、目には今までにない程のきらめきを宿し始める。
すごいセフィリア、とってもきれい。
まるで本物の女神様とか、天使様みたいだよ。
「ふふ、離れていてくださいね」
「うん」
セフィリアの温もりが離れていく……。
もうちょっとだけ、一緒に居たかったかな。
でも、仕方ないよね。
「ば、ばかな! そんな事が!!」
武装していた教徒たちはその場で平伏し、助祭は後ずさりをしながら慌てふためいている。
あたしの作戦。
それはセフィリアに百合バーストを使い、あたかも天使を降りかのように振舞ってこの場を収める事だった。
「さてはまた奇術を使って惑わすつもりだな!! ここまでの侮辱、愚弄、生きて帰れると――」
「待て人の子よ。私は見に来たのだ。そなたらをな」
「見に来た……だと?」
おお、口調もなんかそれっぽく変えてる!
めっちゃ威厳出てるかも……。
「気でも触れたか!! たかが司祭の娘が戯言を!!!」
「私が何者か、そなたが一番よく分かっているはずだ」
「ば、ばかな!! そんな事が!!!」
「もうこれ以上は論じる必要がない。そなたが私の存在を疑おうが信じようが、私にとっては取るに足らないのだからな」
おお、助祭がついに膝を折ったよ!!
セフィリアすごい……。
実はあれが演技だなんて、今は口が裂けても言えない、まったくほんと名優だね。
まさか。
……もしかして本当に天使様?
いやいやいや!
そんな事ないよ!
百合バーストにそんな力あるなんて聞いてないもん!
「人の子よ。そなたが信心深い事はよく分かっている。だが信仰とは与えるものではない、自らで決めるものなのだ」
「で、ですが!!」
「よいな、これ以上そなたの信仰を陥れるな」
「は、はい……」
「私はいつもそなたらを見ているぞ」
あれだけ怒り狂っていた助祭を平伏している姿を見たセフィリアから、すっと光の翼が消えていく。
「ふぅ……」
「セフィリア!」
そして大きく一呼吸した後に、いつもの優しい笑顔でこちらを見ると。
「さあ、学園に戻りましょうか」
まるで何事も無かったかのように、あたしへ話しかけてきた。
「うん!」
「おう!」
あたしの作戦は成功し、どうにかこの場を収める事が出来た。
でもセフィリアすごかったなぁ……。




