11-7
「我々の救い! 我々の慈悲! すなわち唯一絶対の主! その意志に反するとは!!!」
ひえ、机を何度もだんだんって叩いてる……。
おでこに青筋でてるし、目じりピクピクしてるし。
こわいよう……、うぅ……。
「この小娘共め!! どのような料簡か!!!」
「もうやめとけ、嫌がってるだろおっさん」
エレナー!
た、たすかったよお!!
エレナは偉そうな人の剣幕に負けてなさそうだし、ほんと頼りになる……!
「それともなんだ? 十字聖教ってのは人の嫌がる事をするのが教義なのか?」
「黙れえええ!!!!! この我を愚弄するか!!!!!!」
うわ、歯ぎしりまでしだしたよ……。
これは熱心通り越して狂信的だね。
こわこわ……。
「もう許さぬ!!! そこへなおれ!!!! 我が徹底的にその腐った性根を正してくれよう!!!!!」
げげっ、今まで見ていた教徒の人らが武器構えてきた!
まずい、このままじゃあたし達やられちゃうよ!!
「ゆき、逃げるぞ」
「う、うん」
そうだね、ここは逃げるしかないよね。
相手は武装している大人複数で、とても手加減とかしてくれる雰囲気じゃない。
だから魔法を……、それもとっておきのを使って一気にこのピンチな状況を抜けるしかない。
そうなれば、やる事は一つ。
「準備はいいか?」
「……うん」
エレナがあたしを守ってくれたおかげで、怖い気持ちもほとんどないよ。
「////」
「////」
でも……。
や、やっぱり抱き合うは恥ずかしいなあ!
しかもみんな見てるしさ……。
「な、なにをしている!」
「おのれ不埒な!!」
「他の奴の声は聞くな。俺だけに集中しろ」
「うん」
巫女衣装のエレナはすっごくかわいいのに、なんでこんなキュンキュンする事言うの?
女の子なのに、ちょっとイケメンすぎやしない?
「ゆき、お前が欲しい。俺に捧げてくれ」
「エレナ……」
やぁん、そんな事言っちゃあ……!
うぅ、抱きしめるの強くなってきた……。
はぁ……、はぁ……、どきどき止まらないよぉ。
「だがこれは、あの時と同じか?」
「まずいぞ、降臨する!!」
「落ち着くのだ我が同胞よ!!!! 今のうちに一気に断罪すればよかろう!!!!!」
もう、エレナしか見えないよぉ……。
あたしの巫女さま、あたしのてんしさま。
「一体どうしたというのですか?」
「え?」
「んあ?」
「あら、ゆきさんにエレナさん」
ひ、ひえええ……。
何で急にセフィリアが扉を開けて現れるの!
折角いい雰囲気だったのに!!
って、そっか。
セフィリア十字聖教の司祭の娘だっけか。
確かに、法衣着てるし当然だよね……。
「あらあら、随分仲のいい事ですね。うふふ」
「ま、まあな///」
「うぅ……///」
は、はずかしいっ!
やあんもう……。
離れよう……。




