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11-4

「貴様が聖百合教セントリリィ・レリジオンの首魁か?」

 せ、せんとり、りぃ……?

 ごめん、何言ってるかわからない。


「お伝え忘れてましたが、この本を愛用するコミュニティの名称です」

 あたしが戸惑っていた最中、近くに居た商人ギルドの人が、小声でそう告げてきた。

 こ、こみゅにてぃ……?

 いやいやいやいや!!

 本当に宗教してるじゃん!!!

 あー……、だから教祖ってわけね……。


「な、なに? どうしたの?」

「我々は十字聖教ホーリー・クロス・レリジオンだ。今すぐその集まりを解散しろ、さもなくば邪教として処断するぞ」

 だめだ、なんかもうついていけない。

 えっと、あたしの本を売るために立ち上げた新興宗教(もどき)は、あまりにも反響があったせいで本物の宗教団体に目を付けられちゃった……でいいよね?


「処断と言われても……」

 で、そんな事言われてもあたしはしらないよ。

 元々作家活動してただけだし……。


 うーん。

 よくよく考えると、百合本よく発禁にならなかったなぁ。

 こういう俗世というか、不埒というか、自分でいうのもなんだけどもこんな時代じゃ受け入れられないと思うんだ。

 わからん……。


「無能な十字聖教は出ていけ!!」

「お前らが高官とグルになって甘い汁をすすっているくせに!!」

「お布施で売女を侍られているには知ってるんだぞ! この変態教徒どもめ!」

 うっ、変態ってのは否定できない……。

 でもこの感じから察して、あまり評判はよくなさそうだね。


「黙れ! 邪教徒共!」

「この場で即刻処断されたいのか?」

 そりゃあんな事言われたら怒るよね。


「うるせえ! こっちには教祖様と巫女様がついてらっしゃる!」

「そうだそうだ!」

「その気になれば、お前ら似非聖職者が天罰を受けるぞ!」

 えっ。

 もしかして、あたしとエレナ?


「何だと貴様ら!!」

「我らを愚弄するとは……、おのれ看過できん!」

 やば、何この流れ。

 ひょっとしてまずいかも。


「帰れ!」

「帰れ!」

「帰れ!」

 ひええ、このままじゃ怪我する人が出ちゃう……。

 どうしようどうしよう。

 ……そうだ!

 あまり乗り気じゃないけど、仕方ない。


「おやめなさい!」

 あたしがめいっぱいの大声でそう叫ぶと……。

「教祖様……」

「おい、教祖様が話されるぞ」

「拝聴せねば……」

 今にも争い事になりそうなやばい状況が一変し、信徒(お客さん)は次々とあたしの方を向くとその場で平伏していく。

 その様子を見た、十字聖教の人らも構えを解いてあたしの方を見た。


「せ、せんと……なんだっけ」

聖百合教セントリリィ・レリジオンですよ」(ボソボソ)

「聖百合教は他の人との争いを好みません。たとえそれが、他の神を信奉する者であってもです。十字聖教の徒たちよ。後日あたしが直々にそちらへ伺いいたしますので、どうかこの場はお引き取り願いくださいませ」

 やば、なんか言葉おかしい。

 ひー、慣れないよー。

 エレナー、学園長ー、ギルドの人ー、助けてよお~!


「……我々も流血沙汰になるのは不本意だ。いいだろう、待っているぞ」

「逃げ遂せると思うなよ?」

 そう大声で返事すると、十字聖教の人たちは会場から去って行った。

 とりあえずは、みんな無事だしよかったかな?

 ふう、教祖も楽じゃないよ……。

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