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2-3

「魔法……かぁ……」

 この部屋の中を飛び交う火炎、氷、雷、竜巻。

 それらは全て女の子の魔法によって生み出されたものなんだよね。


 だったらあたしも実は使えるのかな?

 しかも異世界転生者だから、魔法力SSとかなんかすごい設定貰えてたり!


「えい!」

 そう思い、なんだかそれっぽく瞑想した後に何もない場所に向かって勢いよく手をかざした。


「……ですよねー。うーん」

 だけど何も起きない。

 いやまぁ、今どきのラノベみたくそんな都合のいい展開にはならないってわかってたけどさ……。

 なんかこう、もうちょっとリアクションあってもいいんじゃないかな!


 それにしても、あたしは魔法が使えない。

 この舞踏会と称したサバイバルバトルを生き残るには、魔法で相手をやっつけるしかない。


 うーん、うーん。

 魔法が使えないけど、魔法を使ってやっつける方法……。

 あたしの魔法……。


 あたしは考えた。

 それから次は着ているメイド服を調べた。

 その時だった。


 あっ、これは!


 あたしの同人本!

 そっか、今までずっと持ち歩いてて、騎士の人とすれ違う時とかは没収されないように、服の中に隠したりしてどうにかやりすごしたんだっけか。


 ってだあああああ!!!

 魔法ばんばん飛んでくるのに同人本でどうしようもないいい!!!


「ねえあなた」

「ひっ」

 こんなに困っているのに、あたしの後ろから声が聞こえてきた。

 もちろん、エレナの声ではない。


 あたしは恐る恐る振り向く。

 そこには、前髪ぱっつん姫カットの女の子が、先端に紫色の宝石がついている杖を持ったまま立っていた。


「申し訳ないけれど、しばらく寝てもらうわ」

「ひ、ひええええ」

 いけない、この子はやる気満々だ……。

 どうしよう、魔法使えない、魔法使えないよおおお!!!


「さあ、その魔法書を使いなさい」

「え?」

 魔法書?

 あたしそんなのもって……ってまさか。

 (同人本を指しながら)これ?


「そうよ、とぼけた子ね」

 いやいやいやいや!

 そんなわけないでしょうに!!

 百合の同人本が魔法書なんて、そんなばかな!


 あ、もしかして今中身を見たら変わっているとか……?


 …………。

 …………。

 …………。


 はぁ、やっぱ百合はいいなぁ。

 お姉さんキャラのリカと妹キャラのメイベルのこの絶妙な距離感とか、会話のやりとりとか。

 もう何だろう、カップリングそのものがイイ!

 我ながらいい本描いたなぁ……。


 って違うそうじゃないし!!

 しかも変わってないし!!!

 あわわわわわどどどうしよううううう。

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