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11-3

 ええい、こうなったらどうにでもなれだ!

 本を売るだけなんだし、きっと何ともない何事も起こらない。

 そうだ間違いない。


 そう意を決して、小屋から外へ出て行った。


「ひっ」

「うげっ」

 けど、あたしは思わず身を引いてしまった。


 めっちゃすごい人居るじゃん!

 何百人いるの……?


「おおおお!! 教祖様だ!!!」

「巫女様もいるぞ!!」

「ありがたや……、ありがたや……」

 しかもみんな膝ついて手を合わせて祈ってるし……。

 ひええ、なんかこわい。


「お集まりいただきありがとうございます。それでは本日の経典を販売します」

 ちょ、ちょっとまって!

 経典……?

 今経典って言ったよね?

 あたしの趣味の本が経典って……、どういうこと。

 ファンタジーとか、そういう問題じゃないよ!


「おお! ついに!」

「買わねば……」

「ありがたや……、ありがたや……」

 いやいやいやいや。

 だって内容は女の子がきゃっきゃうふふしてるだけだよ?

 経典とか、そんな仰々しいものじゃないよ?

 みんな目を覚まそう?

 ね……?


 しかし、そんなあたしの願いも空しく、経典(百合本)の販売会は始まってしまう。

 買いに来てくれた人たちは行儀よく列を作って並ぶと、教祖様(あたし)と巫女様(エレナ)が直接手渡ししていった。


「あ、ありがとうございます」

「教祖様から直接渡されるなんて! うぅ……、何て名誉なんだ……」

 いやいや、そんな泣かなくても。

 ひええ、めっちゃ拝んでるし……。


「巫女様! ありがとうございます!」

「お、おう。これからもよろしくな!」

 いつもは強気のエレナだって、完全に気圧されている。

 笑顔がぎこちないし……。


 でも売れ行きはすごいいいね。

 形はどうあれ、あたしの本がこんなにも求められているなんて。

 異世界転生して良かったかも?


 そう思っていた時。


「ちょっと待った!!」

 会場の入り口から男の人の声が聞こえてくる。


 そこには、白い装束を身に纏った、十字架のペンダントを首から下げた男の人たちが複数人こちらへと向かってきた。

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