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10-8

 あれ、壁と手袋が今光ったような……?

 気のせいかな?


 って、ええええええ!!!

 か、壁がどんどん開いていく!!

 気のせいじゃない、なにこれええ!!!


「ひ、ひぃっ!」

「ちょ、だ、抱きつくなー!!!」

「あらあら……、仲がいいのですね」

 どさくさにまぎれてエレナに抱きついちゃった……。

 エレナあったかい。

 ……いやいや、今はそれどころじゃない。


「ね、ねえ、これって?」

「しらねえよ! てか離れろよ///」

「ご、ごめん」

 エレナ照れてる、可愛いなあ。

 おっと、これ以上くっついてたら怒られるや……。


「すげえな、ゆき何したんだ?」

「魔法力も使わずにこんな大きな仕掛けがあるなんて」

 なんかこう、モーゼの海割りみたいにぱっかーんって壁が開いたよ!

 こ、こんな仕掛けだったなんて。

 あたしもしかして魔法使えるようになってる?

 ……そんなわけないよね。


「ねえ、あれ!」

 壁が縦に真っ二つに割れて、今まで隠れていた部屋の風景が見える。


「箱……ですね」

 そしてそこには、木製の箱が一つ置いてあったのだ。


「開けてみようぜ」

 ここまでやっておいて、開けないって選択肢はないよね。

 よし、あたしがゆっくりとふたを開けて……。

 罠で矢とか出てこないよね?

 どきどき……。


 胸を鳴らせながら、あたしはゆっくりと蓋を開いていき。

 箱の中にあったのは……。


「これって、手袋と……手帳かな」

 あれ?

 こんな大掛かりな仕掛けを用意していて、しかも箱に入っているくらいだからもっとすごい物かと思ったのに、たったこれだけ?


「なあそれ、ゆきがしてるのと同じじゃね?」

 確かにそう言われれば。

 学園長に貰った手袋と同じ……というかこれ、もう片方だ。


「おお、本当だ」

 あたしは早速手袋をはめてみた。

 妙にしっくりくるねえ……。

 でも、特別何か変わった様子はないや。


「でも何で学園長が片方持ってて、ここにもう片方あるんだろ?」

 そうだよ、そこが謎なんだよね。

 まさか、これが勇者が残したってやつかな。

 こんな手袋が……?


「んー、隠しているの忘れたとかか?」

「そんなどじっこじゃないでしょ……」

 勇者や学園長が何の意味もなくここに隠すなんてしないだろうし、しかも片方ずつ別々に持ってたって事になるわけだし。

 どじっこではないと思うけど、なんでそんな事するんかな?


 そう疑問に思っていた時だった。


「そこで何をしているのですか」

 背後から学園長の声が聞こえてきた。


「げ、やべえ!」

「ひっ」

「あらあら……」

「ここは立ち入り禁止ですよ。しかも鍵まで壊して……」

 やば、ばれちゃった!

 きっとさっきの壁ぱっかーんの時だよ……。

 どうしようどうしよう。


「おや、ゆきさんにエレナさん、セフィリアさんまで」

 うう、完全にばれてしまった。

 これはまずいよ……。


「とりあえず、言い分は聞きましょう。正直にかつ簡潔に答えなさい」

「ゆきや俺らの魔法力をあげるために、勇者の力を探してた。言い出しっぺは俺だ、こいつらは悪くない」

「エレナ!」

 いやだから、ミカエルの両親の時もそうだけどエレナ速いよ!

 うう、このままエレナだけ処分されるのなんて納得いかない、あたしも名乗り出ないと……。


「まあ、そうだったのですか」

 あれ、意外と軽い?

 入っちゃいけない場所に入ったのに?


「それなら仲間を思う気持ちに免じて、エレナさんだけ園内掃除10日の罰でここは終わりにしましょう」

「ああ、掃除だろうが何だろうが……、ってちょ、俺だけかよ!!」

「さあ、部屋へ戻りなさい。これ以上長居すれば、本当にあなた方全員に過酷な処分を下さないといけなくなってしまいますよ」

「ひ、ひええ」

「仕方ねえ……」

「ごきげんよう、学園長」

 ともかく許してくれたみたいだね、気が変わらないうちにさっさと行こう……。


 あたしはそそくさと階段を上り、自室へと戻っていった。

 この時、手袋や日記帳を学園長に見せないままその場をやり過ごした。

 この場所が薄暗いせいか、ばれずに済んだけども。

 ど、どうしようこれ……。

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