10-6
それからも、見取り図の怪しい場所を探し続けた。
学園内を歩き回り、日も沈みかけているくらいまで時間をかけた。
…………。
…………。
…………。
…………。
だけど、何も無かった。
「まさか全部空振りなんて……」
なんかこう、もっといろいろあると思ってたのに!
うぐぐ、こんなはずじゃ。
「んだよ、夢も何もねーな……」
エレナは悪態をつきながらその場でしゃがみこんでしまう。
……ぱんつ見えてるよ、なんて言う元気もない。
「あらあら、困りましたねえ」
セフィリアは頬に手をあてながらそうつぶやいた。
あらあらうふふ系お姉さん!
生で見たけど結構いいかもなぁ……。
もちろん、本人に言う度胸と元気はない。
「あ、でも、まだここが残っていますよ」
まるで思い出したかのようにそう言うと、セフィリアは持っている地図を広げてある場所を指でさした。
「ここは……、地下か?」
その場所は、地下へ通じる階段の先にある部屋だった。
「でもここって入れないよ?」
あたしもこの場所は知っていた。
だけど、手前にある扉には鍵がかかっていて、しかも生徒の立ち入り禁止としっかり看板が置いてあるくらいだ。
「まー、行くだけ行ってみるかー」
「うんうん」
「そうですね」
そうだね、様子見だけでもいいかもね。
そんなわけであたし達は、最後の場所へと向かった。
地下へ通じる階段がある部屋の前にて。
「日が落ちると、結構暗いんだなここ」
エレナの言う通り、ちょうど灯りもなくて薄暗い。
人気も無いし。
うう、何か出そうな雰囲気……。
「で、鍵のかかっている扉ってこれか」
目の前にある扉には、やっぱり”生徒の立ち入り禁止”と書かれた看板が置かれている。
「勝手に入るのは良くないですよねえ」
「そうだよね」
やっぱここで諦めるしかないのかー。
勇者の力も結局手に入らずだよ……。
まぁ、あるかないかも定かでは無いけども。
そう思いつつ、身を翻して帰ろうとした時。
「…………」
エレナはおもむろに扉に手をかけてぐっと力をかける。
「えっ」
「まあ……」
なんと、扉はゆっくりと開いたのだ!
うそ、そんな事ってある!?




