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10-1

 試験からしばらくの日にちが経った。

 学園内の廊下にて。


「エレナー」

「よう」

 あたしはエレナとすれ違う。


「じゃあな、ちょっと用事があるからまたな」

「うん」

 だけど、エレナはそそくさと離れていってしまった。



 別の日。

 学園内のエントランスにて。


「セフィリア!」

 あたしはセフィリアを見かけたので声をかけた。


「セフィリア様、今日はお祈りの時間がここから始まり――」

「はい」

「次は司教様との会食で、次は――」

 だけど、お付の者と話していてとてもこちらを気にかけてもらえない。


 むう……。

 あの試験以降、ふたりの様子が何だかすごくよそよそしい……。

 やっぱ足引っ張ったあたしの事を怒ってるのかな。

 うぅ。



 さらに別の日。

 学園長の執務室にて。


「うんうん、2作目も実に素晴らしいですね」

「えへへ……」

「では、商人ギルドの方に話しておきますね。また売る時になったら連絡します」

「お願いします!」

 試験が終わってからも、あたしは絵を描き続けた。

 絵を描けばイメージトレーニングも出来て魔法力もあがる!とか。

 奇跡の聖女の次回作を望む声にこたえる!とか。

 まぁいろいろあるけども、それよりも絵に夢中になっているうちは余計な事を考えなくてよかったし、何よりも絵を描く事がすごく楽しいと思えてしかたなかったからね。


 という感じで、作家活動の方は順調なんだけども……。


「あの……」

「なんでしょう?」

 今のあたしの問題は作家活動よりも、学生として、魔法少女としての今後だった。


「試験の事ですか?」

「……はい」

 何も言わなくても分かってくれる。

 さすが100歳超えは伊達じゃないよね。

 見た目は幼女ですごくかわいいんだけども……。


「確かに百合バーストはとても強力です。ですが、あなたひとりではどうする事も出来ない」

「そうなんですよ!」

 結局、試験は落第者無しだった。

 だから、あたしのチームも全員学園残留は決まった。


 でも!

 あんなの納得いくわけがないよ!!

 回復専門のセフィリアが攻撃出来ないのは良いとして、あたしが攻撃出来ないのは問題ありすぎる!


「それで、何か考えましたか?」

「えっ? うーん……」

 あたしだって馬鹿じゃないよ!

 いろいろ考えたさ!

 自信は……ないけども。

 だから面と向かって言うのはちょっと気がひけちゃう……。

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