9-8
あたしの作戦。
それは、みんなを守る事ではなく石柱を守る事だった。
だからあたしは石柱と相手のチームの人たちの間に入り、自分の身を盾にした。
その作戦がうまくいって、石柱の破壊は止まったけども……。
「こ、この!」
「たかがひとりだけで!」
「やあっ!!」
相手3人は、さらに攻撃の手を強めていく。
「く、くう……」
この3人はミカエルや現役魔法少女程強くはない。
でもさすがに3人分はちょ、ちょっときついかな……。
あまり長くはもたないかも、でも今のうちに何とかしてくれれば。
「オラオラ!!!」
「…………」
あたしはふと仲間たちの方を見た。
エレナは杖から無数の光弾をぶつけて石柱を攻撃し続け、セフィリアはその後ろで無言のまま目を閉じて手を組んで祈り、エレナの魔法力を回復し続けている。
このままあたしさえ耐えていれば、きっと勝てる……。
「くそ! きりが無い」
「その子は無視して私は他の子を狙う!」
「私は石柱を攻撃するね!」
そんな甘くはないよね。
くう、あたし一人じゃ別れちゃ防げないよ……。
どうする?
このまま攻撃を耐え続ける?
ううん、それじゃあエレナやセフィリアが危ない!
なら、あたしも合流して……。
でもそれじゃあ石柱が壊されてしまう!
それに、今あたしを攻撃している子が自由になっちゃうよ。
そうだ!
百合バーストでエレナの力を!
ああああああああ!!!
そんな時間ないいい!!!!!
しかも気分全然そんなんじゃないよーー!!
もー!!!
ええいっ。
こうなったら!!
「エレナ! セフィリアー!!!」
石柱が壊されて負けるのと、あたしの仲間が怪我するのと……。
そんなの選ぶまでもないよ!!
あたしは、エレナとセフィリアが大事なんだー!!
その一心であたしは石柱を破壊している仲間のもとへ向かった。
その結果……。
「試験終了。Hチームの勝利です」
あたしのチームは負けてしまった……。
あの後、石柱破壊合戦になったんだけども。
結局遅れをとっていたあたしは、石柱を壊す事が出来なかった。
「ごめん……」
やっぱりあの局面はみんなを信じて石柱を守るべきだった。
ううん、そうじゃない。
魔法が使えないあたしがいけないんだ。
「いや、ゆきのせいじゃない」
「ごめんなさい。私ももっと力になれたら……」
二人はちゃんと自分の役割を果たしたよ。
何も悪くないよ。
魔法防御と百合バースト。
どっちも強い能力だけど、このままじゃ駄目なんだ。
このままじゃ……。
そんな悔しさとやり切れなさを胸に抱きつつも、あたしの試験は終わった。




