表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/420

9-8

 あたしの作戦。

 それは、みんなを守る事ではなく石柱を守る事だった。


 だからあたしは石柱と相手のチームの人たちの間に入り、自分の身を盾にした。

 その作戦がうまくいって、石柱の破壊は止まったけども……。


「こ、この!」

「たかがひとりだけで!」

「やあっ!!」

 相手3人は、さらに攻撃の手を強めていく。


「く、くう……」

 この3人はミカエルや現役魔法少女程強くはない。

 でもさすがに3人分はちょ、ちょっときついかな……。

 あまり長くはもたないかも、でも今のうちに何とかしてくれれば。


「オラオラ!!!」

「…………」

 あたしはふと仲間たちの方を見た。

 エレナは杖から無数の光弾をぶつけて石柱を攻撃し続け、セフィリアはその後ろで無言のまま目を閉じて手を組んで祈り、エレナの魔法力を回復し続けている。


 このままあたしさえ耐えていれば、きっと勝てる……。


「くそ! きりが無い」

「その子は無視して私は他の子を狙う!」

「私は石柱を攻撃するね!」

 そんな甘くはないよね。

 くう、あたし一人じゃ別れちゃ防げないよ……。


 どうする?

 このまま攻撃を耐え続ける?

 ううん、それじゃあエレナやセフィリアが危ない!


 なら、あたしも合流して……。

 でもそれじゃあ石柱が壊されてしまう!

 それに、今あたしを攻撃している子が自由になっちゃうよ。


 そうだ!

 百合バーストでエレナの力を!


 ああああああああ!!!

 そんな時間ないいい!!!!!

 しかも気分全然そんなんじゃないよーー!!

 もー!!!


 ええいっ。

 こうなったら!!


「エレナ! セフィリアー!!!」

 石柱が壊されて負けるのと、あたしの仲間が怪我するのと……。

 そんなの選ぶまでもないよ!!

 あたしは、エレナとセフィリアが大事なんだー!!


 その一心であたしは石柱を破壊している仲間のもとへ向かった。

 その結果……。



「試験終了。Hチームの勝利です」

 あたしのチームは負けてしまった……。


 あの後、石柱破壊合戦になったんだけども。

 結局遅れをとっていたあたしは、石柱を壊す事が出来なかった。


「ごめん……」

 やっぱりあの局面はみんなを信じて石柱を守るべきだった。

 ううん、そうじゃない。

 魔法が使えないあたしがいけないんだ。


「いや、ゆきのせいじゃない」

「ごめんなさい。私ももっと力になれたら……」

 二人はちゃんと自分の役割を果たしたよ。

 何も悪くないよ。


 魔法防御と百合バースト。

 どっちも強い能力だけど、このままじゃ駄目なんだ。

 このままじゃ……。


 そんな悔しさとやり切れなさを胸に抱きつつも、あたしの試験は終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ