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8-7

 お兄さん、お姉さん、男の子、女の子、おじさん、おばさん、おじいさん、おばあさん。

 列に並んでいる人の年齢だって、服装だって、ばらばら。

 とても同じ品物を買いに来た人なんて思えない。


「学園長これって……?」

「全て、ゆきさんの本を買いに来た方達です」

 あたしの見間違いじゃない。

 夢じゃない、妄想じゃない。


 現実ではいつも売れ残っていた。

 誰もあたしの事なんて見てくれなかった。


 でも、でも……。

 異世界の人は見てくれている!

 期待してくれている!


「すげーな!」

「う、うん……」

 やだ、なんか手が震えてきた。

 すごい嬉しいぞ!

 なんかいろいろあったけど、異世界へ来て良かったって思うよ……。


 そうやって感慨深い気持ちに浸っていた最中。


「はーい! 奇跡の聖女が描いた絵画集の販売を開始しますー!」

 なるほど、漫画なんて単語は存在しないから絵画集なんだね。

 ……ん?


「き、きせきのせいじょ……?」

「ええ」

 いや、ええじゃなくて。

 学園長なぜ冷静なんですか。


「……どういう意味?」

「先の円形闘技場での戦い以降、ゆきさんは天使を降臨させた聖女と、民の間では有名になってますよ」

 確かに、あたしって普段学園の敷地外へ出る事もないからねえ。

 都の様子がどうとか正直よく分かってなかった。

 けども、ここまで凄い事になってたなんて!


「あ! 聖女だ!」

 う、並んでいる人に見つかった。

 ひええ、全員こっちに来るっ!!


「おおお! 間近で見られるなんて」

「聖女様、どうかお導きください」

「ありがたや……、ありがたや……」

「えええええええっ!!!」

 あやややややや。

 瞬く間に囲まれちゃったよ!!

 あたしに向かって祈ったり泣いたりしてる人いるし、こりゃたいへんだ……。

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