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さらにそれから数日後。
あたしは学園長に呼ばれて執務室へと向かった。
今度は一体なんだろう……。
そう思いながら、執務室へと入っていくと。
「ゆきさん、本が完成しましたよ」
「おお!」
ついにあたしの本が出来たんだね!
結局どうやって印刷したのか分からないままだったけども、細かい事はいっか!
「今日から売りに出すので、現地へ向かいましょう」
そうかー、そうかー。
いよいよあたし、異世界で作家デビューかぁ。
現実で叶わなかった夢がついに……!
うぅ、なんだか感慨深いなぁ!
あれ?
向かいましょうって。
「えっ、学園長も?」
「はい」
めっちゃ出かける気満々だ……。
実は楽しみにしててくれたのかな?
まあ確かに、学園長にはいろいろ助けてもらったからね。
この人が居なかったら、ここまで出来なかったもん。
「そうだ、エレナも誘ってもいいですか!」
「もちろんですよ」
エレナもあたしの絵良いって言ってくれたもの。
よーし、みんなであたしの同人本即売会へ突撃だー!
王都にある露店街にて。
「おおー、ここかぁ」
あたしが描いた本を売ってくれる場所は、ずらっと道なりに連なっている露店の一角らしい。
なんでも商人ギルドの人の中に、学園長と親しい人が居たらしく、そのコネを使ったとか。
はたしてどんなところかなぁと、わくわくしながらその露店の場所へと向かったけども……。
なんかすごい人が並んでいる。
人気店でもあるんかなー?
あたしはさらに先へ進んでいく……。
「さあ、ここですよ」
そして学園長が手で示した場所は……。
「うわあ!! なにこれ……」
「すげーな。こんなに並んでるの初めてみたぞ!」
長蛇の列の一番前だった。
こ、この行列はあたしの露店かいっ!
こんなに人気あったなんて……。
なんで?
なにがおこったの信じられないよ。
いやまぁ、嬉しいんだけどもね、うん。




