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8-6

 さらにそれから数日後。

 あたしは学園長に呼ばれて執務室へと向かった。


 今度は一体なんだろう……。

 そう思いながら、執務室へと入っていくと。


「ゆきさん、本が完成しましたよ」

「おお!」

 ついにあたしの本が出来たんだね!

 結局どうやって印刷したのか分からないままだったけども、細かい事はいっか!


「今日から売りに出すので、現地へ向かいましょう」

 そうかー、そうかー。

 いよいよあたし、異世界で作家デビューかぁ。

 現実で叶わなかった夢がついに……!

 うぅ、なんだか感慨深いなぁ!


 あれ?

 向かいましょうって。


「えっ、学園長も?」

「はい」

 めっちゃ出かける気満々だ……。

 実は楽しみにしててくれたのかな?

 まあ確かに、学園長にはいろいろ助けてもらったからね。

 この人が居なかったら、ここまで出来なかったもん。


「そうだ、エレナも誘ってもいいですか!」

「もちろんですよ」

 エレナもあたしの絵良いって言ってくれたもの。

 よーし、みんなであたしの同人本即売会へ突撃だー!



 王都にある露店街にて。


「おおー、ここかぁ」

 あたしが描いた本を売ってくれる場所は、ずらっと道なりに連なっている露店の一角らしい。

 なんでも商人ギルドの人の中に、学園長と親しい人が居たらしく、そのコネを使ったとか。

 はたしてどんなところかなぁと、わくわくしながらその露店の場所へと向かったけども……。


 なんかすごい人が並んでいる。

 人気店でもあるんかなー?


 あたしはさらに先へ進んでいく……。


「さあ、ここですよ」

 そして学園長が手で示した場所は……。


「うわあ!! なにこれ……」

「すげーな。こんなに並んでるの初めてみたぞ!」

 長蛇の列の一番前だった。


 こ、この行列はあたしの露店かいっ!

 こんなに人気あったなんて……。

 なんで?

 なにがおこったの信じられないよ。

 いやまぁ、嬉しいんだけどもね、うん。

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