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「セフィリア……」
「なんだ? 知り合いなのか?」
「知り合いって程ではないけども……」
エレナがめくっていた名簿の中に、あの資料室で出会ったお姉さん風美女のセフィリアの名前があったのだ。
あの人、支援クラスの人だったんだねえ。
どうりであたしのクラス内には居ないわけだ。
「あ、でもこの人ほら、回復魔法は一通り使えて、魔法力を回復する”マジックリカバリー能力”もあるって、あたしたちと合いそうだよね?」
しかも、書いてある事がすごい。
魔法理論の成績はトップ、入学時のランクはミカエルと同じS判定。
ひゃー、すごい人だったんだね!
「いや、そいつは駄目だ」
「えっ?」
「そいつはミカエルたちが選ぶだろうし、向こうもミカエルたちを選ぶからな」
あー……。
やっぱりそうだよね。
ドラフト方式だっけか。
まぁ、あたしらを選ぶ理由はない……かもしれないけども!!
「ど、どうして? わからないよ……? ひょっとしたら……」
そうだよ!
ちょっと変わった人だったし……。
意外と物好きであたし達のとこに来てくれたり……?
「なんだ? ゆき知らないのか?」
「何だろ……」
「セフィリア、この国で一番信者の多い十字聖教の司祭の娘だぞ?」
「ええええええ!?」
し、司祭の娘!
えええ……。
それを聞いた瞬間、セフィリアとの距離が一気に離れたような気がした。
「そ、そんな偉い人の……?」
「そうだな」
「なるほど……」
大貴族の娘と司祭の娘、高貴な者同士かー。
だめだなぁ、あたし達とじゃ釣り合わなさすぎる……。
別の人探した方がよさそうだね。
「じゃあ、こういう人はどうかな? あたし達をパワーアップしてくれる人とか」
「なるほど、百合バーストの魔法力強化にさらに別の強化魔法を上乗せするのか」
「うんうん」
「ならこいつもありだな」
「ほおほお……」
あたしはセフィリアの事を忘れ、他の人でいい人が居ないか選ぶとエレナに提案していく。
日が暮れるまで話し合ったあたし達は、一緒に食事を済ませると各々の部屋へと戻り床についた。




