8-2
突然あたしの前に現れたお姉さん系美少女のセフィリア。
いったい、この人なにもの……?
「あの、それであたしになにかご用でも……」
「まあ! ゆきさんは絵がお上手なのですね!」
「あ、ありがとう」
セフィリアは机の上にあった絵を手に取り、目を輝かせていた。
絵を褒めてくれるのは嬉しいんだけども……。
「ところで、あたしに何か用事が……」
「今も絵を描いてらっしゃるのですね! まあ、素敵!」
「は、はい……」
だめだ。
また遮られた……。
「それで、あたしに……」
「何か手伝えることがありますか? 遠慮なく言ってくださいね」
「う、うん……」
まただ。
ちょっとはあたしの話聞いてくれないかな……?
「それじゃあ手伝いというか……」
「はい。なんでしょう?」
顔近いよう……。
何だろう、いまいち距離感が合わないというかなんというか。
悪い人ではなさそうなんだけども。
「質問してもいいです?」
「はい、何でもお答えします」
「あたしに何かご用でしょうか?」
「……あぁっ! ごめんなさい! 私ったらつい自分の事ばかり話してしまいましたっ!」
ようやく分かってくれた。
両手を頬にあてて恥ずかしがってる。
見た目お淑やかなお姉さんっぽいのに、動きは可愛い。
でもそんなギャップがいいかも?
「用事は特にございません」
「えっ?」
「先の戦いで奇跡を起こしたゆきさんがいらしたので、是非一度お話をしてみたいなと思いました」
奇跡……、奇跡……。
あー……あれだね。
百合バーストで、エレナの背中に光の羽がファッサーって奴だね。
そんなに有名になってるなんて!
という事は、あたしとイチャイチャしたのもそれだけ多くの人に知られているって事かな?
ひー、そう思うと恥ずかしいなぁ!
「絵を描いている途中でしたのに、邪魔して申し訳ありません」
「いえいえ……」
そんな改まらなくてもいいのに。
あたしもこんなきれいな人と話せて嬉しいし?
そっかー、お姉さんかー。
うーん。
姉妹カップリングもありかな……?
「それでは失礼しますね。またお話ししましょう」
「うんうん、またね~」
セフィリアは自身のスカートの裾を軽くたくしあげてお辞儀をする、所謂カーテシーをすると資料室から出て行った。
で、結局なんだったんだろう。
まあいいや。
絵を進めないと……。




