8-1
現役魔法少女との戦いから数日。
あれから予想以上に何も起きず、平穏な日々が続いた。
「うーん……」
授業を終えたあたしは、異世界で売る本を仕上げるために、今日も机に向かっている。
まさか異世界でも同人活動をするなんてねぇ……。
ってあれ?
こっちの世界じゃオリジナルになるんかな……?
じゃああたしって普通の作家じゃん、絵描きやさんじゃん!
おっと、集中しなきゃ。
納期は少し伸ばしてもらったけれど、とてもさぼれる余裕はない。
集中して描こう。
…………。
…………。
…………。
…………。
「ふぅ……」
ちょっと首が痛くなってきたや、少し休憩するのに外歩いてこようかな。
そう思うと立ち上がり、部屋を出て学園内をうろうろする事にした。
学園内の廊下にて。
みんな授業が終わったのか、各々好きな事をしているみたい。
仲がいい人たちで話をしたり、魔法の練習をしたり……。
そんな様子を見ながら、ぼうっと歩いていた時にふと考える。
あれ以降、エレナが妙によそよそしくなったような気がする。
あんな事があれば無理もないけども。
それでもエレナなら、いつも通り”よう!”みたいに声かけてくれると思ってたのに。
はぁ、あたしも変だ。
何でエレナの事意識しちゃってるんだろ。
もしかして、あたしのそういうのを察知してるから避けられてるのかな……。
でも、あの戦いの後から百合本描くの早くなったような気がする。
やっぱ実際に体験しないと駄目ってやつなのかも?
きゃー!
なに考えてるのもー!
「あぁそうだ。調べものしなきゃだった」
ふと我に返ったあたしは、本を描くのに使う資料を探すために資料室へと向かった。
MA学園内の資料室にて。
「これと、これと……、これもかなぁ」
あたしは必要な資料をとりあえず片っ端から集めていき……。
「よいしょっと」
それらを机に置くと、椅子に座って読んだり複写したりした。
これと……、これは使えるかなぁ……。
うーん。
「あの……」
えっと、あー……。
こんなふうになってるんだ、なるほどなるほど……。
「あの……」
うーん、このデザイン難しいなぁ。
でも可愛いし、学園長にも相談した方がいいかな……。
うーんうーん。
「じー……」
なんだろ。
さっきから視線と気配を感じる。
「ん?」
あたしはその方向を向くと……。
「うわあっ!」
「うふふ、やっと気づきましたね」
そこには別の学生がじっとあたしを見ていた。
てか近いよ!!!
な、なななに!
いったいなんなのびっくりするよ!!
あ、でもこのひと。
栗色の髪綺麗……すごい長い、腰よりも下にある。
あと、色白だし、年近いはずなのに何だか大人っぽいし、胸大きいし。
なんだろう……、めがみさまっぽい。
すごい綺麗なひと。
「はへぇ、えっと、だれ……?」
「私はセフィリアといいます。初めまして」
「ほおほお……」
「ゆきさん……ですよね?」
こんな美人さんに覚えてもらえてるなんて。
あの試合を見てたからかな?
でも、あたしに何の用だろう?




