7-4
「うおらああああ!!!!!」
この魔法!
間違いない、ミカエルを倒した時のやつだ!
垂直に飛んで、杖に溜めた光のエネルギーの塊を相手にぶつけるやつ!
でも、気持ち巻き起こる風が弱いような。
光が眩しくないような……。
き、気のせいだよね?
「どうだ!!」
「やったかな!」
だって、リゼットは飲みこまれてしまってるし!
ほら、光がだんだんおさまっていって、リゼットがぼろぼろになっている姿が見えてきて……。
「服が埃だらけになっちゃったじゃない」
ない!
ぼろぼろになってない!!
ちょっと煙たそうにしているだけ……!
エレナの魔法が直撃したのに、どうして!!
「お、おい……」
「うそ……」
絶対に今のは当たったはずだよ!
あ、もしかして魔法力が300万どころじゃないとか……?
そんなぁ……。
「魔法力300万以上だぞ? あいつ化け物か……」
「300万? そんなわけないでしょ。今の攻撃なんてせいぜい1、2万ってとこ」
「嘘だろ……、なんでだ!!」
「知らないわよそんなの」
えっ、1万程度……?
だって、百合バーストは発動したはずなのに!
ちゃんと助かりたいって思ったし、き、きききキスだってしたし!!
「で? もう終わり? 強引にキスしただけ?」
そうだ。
あたしからしないと駄目なんだ。
今のはエレナが強引にくちびるを合わせただけだから無意味だったんだ……。
「嫌味な見世物だったけど、ちょっぴりは楽しめたよ」
百合バーストの事をちょっと知れた。
でも、もう手遅れだ。
リゼットはさっきと同じ様に手のひらに魔法力を溜めている。
もう待ってくれそうにない。
あたしがする暇もない。
もしかして、もうおわり……?
「く、くそ……!」
「ああ、あああ……」
い、いやあ。
こないで……、おねがい……!
ゆるして……、たすけて!!
しにたくないいい!!!!!
「教えたあれをしなさい! 死にたくなかったらいますぐに!!」
そう思っていた時。
リングの外から学園長の声が聞こえてくる。
「あぁ? そんな場合かよ!」
「そ、そうだよ学園長!」
教えたあれって、もしかしてこの公開処刑が決まった時に毎日やっておけって言われたあれ……?
むりむりむりむり!!
あんなのどうして役立つの!
絶対にむりだって!!
「ちょっと、口出しありなの?」
「なしに決まっているだろう!」
「私から以上です。もう一切喋りません。たとえ教え子が目の前で殺されようとも」
あたしが反論する時間も、学園長が追加でアドバイスを与える時間も無い。
「……さあ、覚悟して」
あとは座して死を待つか……。
それとも学園長の指示に従うか……。
「仕方ねえ、あれやるか」
「う、うん……。死にたくないもの」
だったらもうやるしかない!!
あたしこんなところで死んでられないよ!!!




