表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合教祖 ~現世では売れない百合同人作家でしたが、異世界で作品を広めたら教祖として崇められました~  作者: いのれん
maGicaL 6 魔法少女の卵になった百合同人作家、事件に巻きこまれる
42/420

6-3

 それから数日後。


「大変だ! ゆき!!」

 あたしは今日もまた絵を描いていた。

 そんな時、突然エレナが部屋の扉を勢いよくあけると、血相を変えてあたしを呼んだ。


 いつも何事にも動じないエレナが、今日はいつにも増して慌てている。

 珍しい、何があったんだろう。


「うん? どしたの?」

 慌てている理由を聞こうとしたあたしだったが……。


「いいから来い!」

「え、ええええええーー!!」

 エレナはあたしの手を引き、走り出してしまう。

 あたしは半ば引きずられる感じで、外へと出て行った。



 そうやって到着したのは、学園入り口にあるエントランスホールだった。

 既に何かあったのか、ものすごい人だかりが出来ている。


「お、おい。あれを見ろ」

「何だろ……?」

 あたしは人だかりをかき分けつつ、囲まれている何かを確認しようとした。


「どういう事だね学園長」

「私の娘が大けがをしたのよ! どうしてくれるわけ!!」

 そこには、いかにも高級そうな服を着た紳士と、こちらもいかにも高級そうなドレスを着た女の人が、学園長と話していた。

 でも、高級そうな二人はとても穏便な様子ではなさそうだ。


「我が愛娘を傷つけた者を差し出せ、火あぶりにしてくれる」

「火あぶりなんて優しすぎますわ。ありとあらゆる辱めを受けてから、八つ裂きにしてやらないと!」

「お待ちくださいセレライン卿。今回の一件は試験中に起きた事故、学生の責任ではありません」

 愛娘を傷つけた……?

 試験中の事故……?


「何を馬鹿な事を言っているのだね学園長」

 も、もしかしてそれって……。


「確かに、この学園は未来の救世主を育成する為にある、厳しい授業や危険な演習もあるのは分かっているし、許容済みだ」

 この感じ、雰囲気……。


「だが、ミカエルはあれからずっと目を覚まさないのだぞ! いささか、やりすぎなのではないか?」

「そうよ! うちの娘……、大切なミカエル……うぅっ……」

 げげっ!

 やっぱそうじゃん!!

 あたしの力でパワーアップしたエレナが病院送りにした、ミカエルの両親じゃん!!

 母親の方は泣きだすし、父親はものすごい剣幕だし、学園長は終始困ってる感じだし……。


「ともかく、ミカエルを傷つけた者を差し出していただきたい!」

「断ります」

「そちらがそういう態度ならば学園長! あなたに責任をとって貰いますぞ!」

 今は学園長があたし達を守ってくれている。

 でも……。


「……んー、かなりまずいな」

「うん」

 ミカエルの家は貴族で名家でとにかくすごいらしい。

 そんな大切な娘さんを傷つけた。

 しかも聞いた感じ、試験からずっと目を覚まさないとか!

 そりゃ怒るよね……。


 やはりここは潔く名乗り出るしかないのかな。

 エレナや学園長に迷惑かけられないよ……。


「構いません。この学園の責任者として、私が処罰を受けましょう」

「なんと! 学園長気でも触れたか!」

 えぇ!?

 そんな!

 学園長そこまでしなくても!


 駄目だ、このままじゃ取り返しがつかなくなっちゃう。

 名乗り出ろ、出るんだあたし……。


 そう思いながら、重い足をゆっくりと前へ向かわせようとした時だった。


「俺がやった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ