49-12
百合バーストをリゼットにして、逆転の攻撃を!
って思ってた矢先。
まさかの百合バースト失敗!
「ううむ……、確かにいつもなら背中から光の翼が出るもんな……」
ええええっ!
そんなー!
「ほら、俺らがリゼットと戦った時、強引にした時と同じじゃないか?」
「私じゃ駄目なの?」
「いや、そんなんじゃないよ! リゼットは可愛いし……」
「……何言ってるのよ」
「そ、そうだよね。ごめん」
「ともかく、失敗したのね」
「うん……」
駄目だ、理由がまるで分からない。
何で今更失敗するの?
あたしに自覚の無い原因でもあるのかな。
「それ、ひながママを愛した力と同じだよね。それなら使えないよ」
「ええっ! なんで!」
「だって、その力はひなが支配しているから」
なるほど。
百合の女神が居るから、あたしの百合バーストが使えないって事なんだね。
って!
それじゃあ!!
「なら、ひなに百合バーストをしてセフィリアを救出するのも……」
「出来ないよ。ママはもう、ひなとずっとひとつだよ」
そんな……。
あたしの百合バーストが使えないんじゃ、ひなをやっつける事もセフィリアを救う事も出来ない!
「…………」
たくさんの魔法少女が協力してくれている。
それなのに、もうどうしようもない……?
ううん!
弱気になるなあたし!!
何か手があるはずだよ!!
何か……、何か……!!!
…………。
…………。
あたしは考えた。
…………。
…………。
必死になって考え抜いた。
…………。
…………。
そして至った結論。
「万策尽きたね」
「お、おい。ゆき……」
「ごめんエレナ、みんな」
「ばっかやろう!! ここまで来て諦めんなよ!!!」
「もう無理だよ……」
「うるせえ! お前がセフィリアを救わなくって誰が救うんだよ!!」
「でも、もうどうしようもないんだよ!! 無茶言わないでよ!!!」
「ゆき……」
「ひな、あたしの負けだよ」
「くそっ……、ここで終わりかよ……」
今のひなに対抗する術はない。
だから……。
「でもひとつだけお願いがあるの!」
「なに?」
「あたしはあなたを称える。これから死ぬまでずっと聖百合教の教祖として生き続ける。だからみんなの命だけは助けて!」
たとえここで殺されてもいい。
ひなの命令を聞くだけの人形になってもいい。
でも、みんなだけはどうか無事で……。
「……本当にひなを受け入れるの?」
「そうだよ。もう反抗しない」
「……信用できるの? 助かりたいだけで言ってる?」
「いやぁー、元々あたしって百合好きだし? セフィリアの事さえ目をつむれば、ひなとは本来理解し合えると思うの」
「ゆき、わかってくれて嬉しいよ。その気持ちは本当だよ」
「ひな……」
「じゃあ、願いを聞いてあげる。さあ、こっちへ」
「うん」
あたしはゆっくりとひなの方へ歩いていく。
ひなはこちらを見たまま、地上へ降りていく。
やがてあたしとひなはお互いが触れ合う距離まで近寄っていき……。
「んん……」
「ん……」
あたしは女神ひなと口づけをかわした。
「ゆきーーー!!!!!」
後ろでエレナの叫び声が聞こえた。
だけど、そう思った瞬間にぷつんと意識が途絶えた。




