49-10
あたしやエレナ、他の魔法少女全ての魔法を合体した攻撃。
えっと、なんとかかんとかスレイとか言ってたっけか。
槍の形をした青白く輝く魔法力の塊は、最初は女神ひなに捕まれたものの、勢いが失われる事なくじわじわと押していってる!
「ひ、ひなは絶対に負けない……」
やった!
この調子で行けば、ひなの体を貫いて……!
あれ?
でももしも貫いちゃったら、セフィリアはどうなるんだろう?
死んでしまうのは困る!!
ど、どうしよう。
「ひなはママとずっと一緒なんだ! 誰にも邪魔はさせないんだから!!」
でもそんな心配は必要なかった。
ひなはそう叫ぶと、槍の形をした魔法力は吹き飛ばされてしまい、空の彼方へと飛んで行ってしまったのだ。
「う、うそ!」
ええええっ!
なんかいい感じだったのに!
あれでも駄目なの……?
「ふう……」
しかもひといきついたら、またさっきの平然とした表情に戻っちゃった。
うーん、強すぎる。
「……そんなにひなの邪魔をしたいの? そんなにひなからママを取り上げたいの?」
女神ひな、表情こそは変えないにしても、あたしの方をめっちゃ睨んでる。
これって、怒ってるって事だよね?
さっきの攻撃で逆鱗に触れてしまったって事だよね?
これはまずいかも。
「何度も言わせんな。セフィリアはお前のものじゃない。誰のものでもない。だから解放するだけだ」
ひいっ、エレナ~!
そんな火に油を注ぐような事を言うなんて~!
「はぁ、分かったよ。もういい」
「あ?」
「もう誰の理解もいらない、誰もいらない」
「何言ってるんだ?」
「ひなの事分かってくれない、こんな世界なんていらない」
「ちょ、この流れって……」
「全部こわして、消して、ママとひとつになったひなだけが存在としてあり続ける」
「まずい!!」
うわあでたよ!
そしてやっちゃったよ!
気に入らないから全部壊すっていう極論!
ラスボスあるあるの展開!!
で、相手が女神ひなってだけに、この展開はとってもまずい。
今まで攻撃に積極性が無かったから、生きていられた。
力の差が歴然としているのに、そんなのがこっちを全力で潰そうとしてきたら、まず勝ち目ない。
「アホかお前。この世界はお前のママが作ったんだぞ?」
「…………」
「壊していいのか? ママの頑張りを無駄にする気か?」
でかしたエレナ!
さっきの発言を帳消しにしそうなナイスフォロー!
ひなはセフィリアが好きだから、この言葉を聞き流す事は出来ないはず。
「そうだね。この世界は壊さない」
「だな。それが賢明だぞ」
「だけど、あなたたちは全員死んでもらう。誰も居なくなってから、ひなが新しく創るの」
「だな。それがけんめ……いじゃないぞ!」
いけない。やっぱり駄目だった。
どうみても説得失敗じゃん!
うぅ、やっぱこのまま戦うしかないんだね……。




