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「…………」
魔法少女のみんなは、女神に対峙していた。
「…………」
みんなセフィリアを取り返すために、ここまで来てくれたんだと思う。
「…………」
だけど、誰も手を出さなかった。
「…………」
浮いている女神ひなも、そんな魔法少女を見下ろしているだけだった。
「なあ、なんで攻めないんだ?」
「もう既にやってるわよ。巻き込まれたくないから見ているだけ」
「どういう事だよ」
あたしには何かやってるようには見えないんだけども。
別に火や氷を飛ばしているわけでもないし……。
「今、ミレーユとあいつが戦っている」
ああ、そういうこと!
時間操作しながら戦ってるから、あたしたちじゃ何もやってないように見えるだけね!
…………。
…………。
んん?
時間操作して戦ってる?
「面白い魔法使うね」
あたしやエレナですら結局攻略できなかったミレーユの魔法。
ほぼ必殺と言ってもいいくらいの力なのに、女神ひなは表情少しも変わってない。
という事は、あの時間操作と対等に渡り歩いているって事……?
「……ふむ」
おっ、ミレーユの姿が見えた。
なんか難しそうな顔してる、どうしたんだろ。
「うぐっ!」
ええええっ!!
なんか突然肩を抱えて倒れたんだけど!!
な、なに、どうしたのいったい。
「ひなとママの愛は時間の概念すら超える。だから効かないよ」
正直何が起きたのかはまるで分からないけども、あの無敵の魔法を使えるミレーユですら、女神ひなには通じないって事だよね?
「ミレーユさんですら駄目とか……」
「どうすれば勝てるんだ……?」
まずい、他の魔法少女の人の戦意が落ちてきている。
そりゃあミレーユが勝てない相手をどうにかしろなんて無理なのは分かるけども……。
「さあ、みんなもひなとセフィリアママとの愛を見守ろう? 究極の百合を一緒に守ろう?」
「百合……、聖百合教と同じなのか?」
「だったら、そもそも攻める必要はないのかしら」
ちょ、ちょっと!
なんだか納得しだす人も出てきたよ!
そりゃあ大好きなふたりがひとつになるって、ある意味究極かもしれないけども……。
そんな敗戦ムードになりつつある中。
「はい。おしまい」
リゼットはそう言うと、手をひとつだけ叩いて音を鳴らした。
「ほら、行くわよ」
「で、ですがリゼットさん。相手はミレーユさんですら敵わない相手ですよ」
「百合なら、むしろ共存する方が……」
「そういう問題じゃなくて、セフィリアを取り返すのが目的だよね? それに、まだミレーユひとりだけしか攻めてないじゃない。全員で行くわよ」
みんなの顔つきが少しだけ変わったような気がする。
リゼットのその言葉で、どうにか戦意を維持する事が出来たみたい。
よし。
あたしも少しは回復出来た。
これで戦いに参加出来る!




