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49-4

「…………」

 あたしは、百合の女神ひなに見下ろされていた。


「…………」

 それは魔法力が圧倒的なのもあるんだけども。

 魔法力なんか比べものにならないくらいの深い愛。


 ……自分でも何言ってるかわかんないし。

 どうしたらいいかもさっぱりだけども。


 ただ、圧倒的だ。


「ここから逃げられるなんて、期待しないでね?」

「!!」

「当たり前だよ。ひなとママを認めるまで逃がさない」

 これで逃げるって選択肢もなくなっちゃった。

 あたしは……立ち向かうしかない。


「勇者の剣! やああ!!」

 だったら立ち向かうしかない!

 気持ちで負けてたら勝てる戦いも勝てないよ!!


 あたしはなけなしの勇気を振り絞り、剣を生成した。

 体を捻らせ、ばねを生かして剣で女神ひなの腹部を切り裂こうとした。


 しかし……。


「…………」

 剣を……素手で受け止めた!?

 そんな!

 やばい、ひなも剣を生成して突き立ててきた!

 当たる!!!


「うっ……!」

「これで2回目」

 ……さっきと同じだ。

 ひなの剣はあたしの胸を貫いている。

 だけど怪我や衣装の乱れも無ければ、痛くも無い。


 でもだからといって喜べる場合じゃない。

 実感はなくっても、あたしは確実に死に近づいているんだから。

 あたしの魔法力が尽きて攻撃を受ければその時は……。


 …………。

 …………。


 ううん、怖がるなあたし!

 エレナやセフィリアとこれからを生きるんだ!!

 こんなところで……、やられてたまるか!!


「勇者の槍!!」

 あたしは身を引いてひなとの距離を置くと、ひなの剣の範囲外からでも攻撃可能な槍を生成した。


「やああ!!」

 そしてそれを、ひなめがけて何度も突いた。

 手や足の震えは実感してたけれども、それでも攻撃の手を緩めはしなかった。


 だけども……。


「くっ……」

「3回目」

 ひなはあっという間にあたしの懐に入り、あたしの腹部を剣で切り裂いてしまう。

 それは、うんざりするくらい鮮やかな剣さばきだった。


 …………。

 …………。


 負けるなあたし!

 ここで負けたら……!


「勇者の幻影! そして螺旋槍!!」

 今度はあたしの分身との連携攻撃だ!

 分身にも武器を持たせて、どちらが本体で攻めてくるのか分からなくすれば……!


 そんな思いを胸に、あたしはひなへ再び迫っていく。

 分身を左方からけしかけ、本体は回転する槍を突き立てながらまっすぐ突っ込む。

 あたしの分身の出来は良い、攻撃のタイミングもばっちり。

 これなら……!


「…………」

 ひなが剣をしまった?

 あれは……、短剣……?

 分身の方に大量に投げて……、分身が消された!!


 だったらもう、このまま特攻するしかない!

 この勢いと回転力なら、短剣なんか弾けるはずだ!


 いっけええええ!!!!


「……哀れだね」

 う、うそ。

 ひなの体に当たったのに、螺旋槍が粉々に砕けて……!


「うぅ……」

「4回目」

 ……まただ。

 またあたしのお腹に……、ひなの剣が刺さっている。

 螺旋槍が砕かれて、あたしが驚いた隙にやられたんだ。


「あぐっ」

「……ようやく魔法力が無くなってきたみたいだね」

 今はそんな分析なんかどうでもいい。

 衣装はなんともないけど、刺されたところが熱くてちくちくして、すごく痛い……。

 これって!


「はぁっ、はぁっ」

「終わりだね」

 あたしの魔法力は尽きた。

 次のひなの攻撃であたしは……!!


「さっきも言ったけど殺しはしない。ひなとママの愛の守護者として、そして人々にその愛を広める教祖として生きるの。その為の記憶と力をあげるから安心して」

 ひながこっちへ……!

 いやあ、こないで!!!

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