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49-3

「やあっ!」

「…………」

 あたしは勇者の剣を大きく振りかぶった。

 いつもよりも高く、強く打ち込んだと思っている。

 だけど、女神ひなは無言のまま涼しい表情であたしの攻撃を受け止めた。


 負けじとあたしは何度も剣を振るった。

 本格的な武術なんてやってないあたしが参考にした動きは、昔やったアクションゲームが先生という、とっても心許ないものなんだけども。

 それでも脳内イメージの通りに、横薙ぎや切り上げを繰り返していった。

 だけど、女神ひなはそれも全て受け止め、受け流し、避けてしまった。


「思ってたより強いよ」

「はぁ、はぁ、ありがとうね……」

「ビーストハンターの主人公かな? その動き」

「……分かってくれる人がいて嬉しいよ。でもあのゲーム難しくって難易度イージーでもクリアするのに2回死んだけどね」

 そっか、ひなも異世界転生者だったっけか。

 ようやく理解者に巡り合えた。こんな関係じゃなかったらいい友達になれてたかもしれないのに。

 そう思っていたら、いつの間にか剣を強く握りしめていた。


「ひなはベリハをノーミスクリアしたよ」

 ベリハっていうのはベリーハードの略で、そのゲームの最高難易度を示している。

 ノーミスクリアの動画見たことあるけど、敵の動きを先読みしていて、攻撃の範囲とかタイミングも熟知しているというか、かなりやばい。

 コメント欄は人間を辞めているとか書かれていたっけか。

 まあ、今は女神だからあながち間違いじゃないけども。


「……だからなんなの?」

「もうちょっと強めに行く」

 今まで片手のみだったのが、両手に剣を持って……!

 に、にとうりゅう……?


「はぁっ!」

「…………」

 ひっ!

 はやくて……、力強い攻撃!

 それが上からも横からも来て……!

 いけない!

 このままじゃ……!


 女神ひなの剣さばきについていけなくなったあたしは、彼女の攻撃で遂に勇者の剣を手放してしまう。

 そして……。


「あぐっ」

 む、むねに……、剣が刺さってる……?


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


「これでいっかいめ」

 女神ひなはそう告げると、あたしの胸に刺さった剣を抜いて間合いを離した。


「あ、あれ? 痛くない?」

 ひなの剣は確かにあたしの胸に刺さった。

 でも痛くもない、怪我もない、魔法少女の衣装だって傷ついてない。

 な、なんで……?


「その衣装が守ってくれたんだよね。ママの愛だよね」

 なるほど……。

 やっぱこの魔法少女の衣装すごい。


 ん?

 でも守ってくれたってことは。


「魔法力が減ってる……?」

 そうだ、自分の魔法力を肩代わりにするんだ!

 じゃあ今の攻撃で減ったはず。

 しかも相手はひなだから、その数値はかなり大きいと思うんだけども……。


 あああー!

 あたしじゃ分からないよー!

 結局、ずっと分からないままなんとかなってたし……。

 うぅ、もうちょっと訓練しとけばよかった。


「さあ次はどうする? また剣で勝負するの?」

 ううっ。

 剣の勝負じゃひなには勝てない。

 どうしよう……、他に戦う方法は……。

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