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「やあっ!」
「…………」
あたしは勇者の剣を大きく振りかぶった。
いつもよりも高く、強く打ち込んだと思っている。
だけど、女神ひなは無言のまま涼しい表情であたしの攻撃を受け止めた。
負けじとあたしは何度も剣を振るった。
本格的な武術なんてやってないあたしが参考にした動きは、昔やったアクションゲームが先生という、とっても心許ないものなんだけども。
それでも脳内イメージの通りに、横薙ぎや切り上げを繰り返していった。
だけど、女神ひなはそれも全て受け止め、受け流し、避けてしまった。
「思ってたより強いよ」
「はぁ、はぁ、ありがとうね……」
「ビーストハンターの主人公かな? その動き」
「……分かってくれる人がいて嬉しいよ。でもあのゲーム難しくって難易度イージーでもクリアするのに2回死んだけどね」
そっか、ひなも異世界転生者だったっけか。
ようやく理解者に巡り合えた。こんな関係じゃなかったらいい友達になれてたかもしれないのに。
そう思っていたら、いつの間にか剣を強く握りしめていた。
「ひなはベリハをノーミスクリアしたよ」
ベリハっていうのはベリーハードの略で、そのゲームの最高難易度を示している。
ノーミスクリアの動画見たことあるけど、敵の動きを先読みしていて、攻撃の範囲とかタイミングも熟知しているというか、かなりやばい。
コメント欄は人間を辞めているとか書かれていたっけか。
まあ、今は女神だからあながち間違いじゃないけども。
「……だからなんなの?」
「もうちょっと強めに行く」
今まで片手のみだったのが、両手に剣を持って……!
に、にとうりゅう……?
「はぁっ!」
「…………」
ひっ!
はやくて……、力強い攻撃!
それが上からも横からも来て……!
いけない!
このままじゃ……!
女神ひなの剣さばきについていけなくなったあたしは、彼女の攻撃で遂に勇者の剣を手放してしまう。
そして……。
「あぐっ」
む、むねに……、剣が刺さってる……?
…………。
…………。
…………。
…………。
「これでいっかいめ」
女神ひなはそう告げると、あたしの胸に刺さった剣を抜いて間合いを離した。
「あ、あれ? 痛くない?」
ひなの剣は確かにあたしの胸に刺さった。
でも痛くもない、怪我もない、魔法少女の衣装だって傷ついてない。
な、なんで……?
「その衣装が守ってくれたんだよね。ママの愛だよね」
なるほど……。
やっぱこの魔法少女の衣装すごい。
ん?
でも守ってくれたってことは。
「魔法力が減ってる……?」
そうだ、自分の魔法力を肩代わりにするんだ!
じゃあ今の攻撃で減ったはず。
しかも相手はひなだから、その数値はかなり大きいと思うんだけども……。
あああー!
あたしじゃ分からないよー!
結局、ずっと分からないままなんとかなってたし……。
うぅ、もうちょっと訓練しとけばよかった。
「さあ次はどうする? また剣で勝負するの?」
ううっ。
剣の勝負じゃひなには勝てない。
どうしよう……、他に戦う方法は……。




