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眩しい!
急に何なの!
うぅ、すごい光。
まるで針みたいに刺してくる……。
…………。
…………。
おや?
あれだけ強い光がおさまっていく?
これで見えるように……。
「えっ……」
な、なにこれ。
空飛んでいたひなの姿が……変わってる!?
今まで全裸だったのに、なんか真っ白なドレス着ていて、背中に羽が生えていて、髪も足先まで長くなっていてまるで女神様みたい。
うーん。
綺麗かも……。
って!
感動している場合じゃない!
「な、なんなのその姿……」
「これはママを愛する気持ちの結晶だよ」
つまり、百合百合した結果って事……?
ほおほお、百合の女神ってわけだね?
うーん、分かるかもしれない。
確かに胸元に百合の紋章ついてるからなぁ。
いやいや、共感してどうする。
セフィリアを取り返さないと!
「はあ、ママとひとつになるのって、なんて気持ちいいんだろう」
ひいっ、また自分で自分を抱きしめてるよ……。
しかも今度は頬まで赤らめさせながら悶えているし。
「ねえ、ゆき」
「なに!」
「こんな素晴らしいのを、みんなにも分け与えないとだよね?」
「……あたしも百合は好きだよ。エレナの事だって好き。ううん、今まで出会った女の子みんな好き」
「分かってくれるんだね! じゃあ……」
「でも! 人に押しつけるのは良くないよ」
「…………」
「それに、ごく平凡な日常の中に百合があるからいいんであって、百合な世界に百合があってもそれは違うんだよ」
「分からない……。意味が分からない……」
あたしだけのこだわりなのかもしれない。
本来なら、理解できるような趣味じゃないのも分かってるよ。
「結局、分かり合えないんだね」
「……うん」
それに、セフィリアを返してもらわないといけない。
だからもう、やる事はただひとつ。
「……殺しはしないよ。あなたはこれからも百合教祖として、ひなを崇め続けるの」
女神になったひなはそう言うと、何もない所から白ピンク色に輝く剣を生成して、切っ先をこちらへ向けた。
「セフィリア待っててね。必ずあなたを取り返してみせるから」
あたしも負けじと、勇者の剣を出して同じようにひなへ切っ先を向けた。
女神と教祖の、お互いの百合をかけた最終決戦が始まろうとしていた。




