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…………。
…………。
…………。
…………。
う、うぅ……。
ここ……どこだろ……。
あたしはくらくらする頭を抱えつつ、ゆっくりと立ち上がっていく。
そしてあたりを見回し……。
「えっ、な、なにこれ!」
周りが崩れた石壁だらけ!
どうなっちゃったの。
そして、どこなのここ……。
ってかここってもしかして、MA学園!
何で崩れちゃってるの?
うーん、思い出せ。
確かセフィリア救出のために学園の地下へ行って、セフィリアを説得した。
作戦は成功したけども、エレナがやられて、ひなとセフィリアがレズバーストして……。
あっ!
エレナはどこなの!
まさか……、この瓦礫の中に……?
「お、おーい」
「エレナ!」
近くの瓦礫の中から……。
もしかして!
あたしは声のする方にあった瓦礫をどかしていく。
するとそこには、横たわっていたエレナが居た。
「いてて、辛うじて結界はって助かったぜ……」
「よ、よかった……。意識失ってたからもうてっきり……」
「別に死んだわけじゃない、ちょっと目を閉じてただけだからな」
そ、そうなのね。
この際なんでもいいから無事で良かったよ。
本当に……。
「だが、俺はまだ動けそうにないな。いてて……」
「う、うん。すぐに助け呼ぶからね」
MA学園なら、助けを呼べば教徒の人だって魔法少女だって来てくれる。
というか、学園が崩れたなら誰か来てもおかしくない。
そうだ!
セフィリアは!
セフィリアは無事なの?
「そういえば、セフィリアは?」
「あそこを見ろ」
エレナが全然関係ない空の方を指さしている。
えっ、なに、セフィリアが飛んでいるとでもいうの?
もー、こんな非常時に!
そう思いつつも、あたしはそちらを振り向くと……。
「な、なにあれ……」
そこには、セフィリアが居た……んだけども。
う、うそ、何も着ていない!
いやん恥ずかしい///
で、でも……。
さっきまで魔法少女の衣装着てたよね?
なんで裸なの。
というか、浮いてるじゃん!
なに、なんなの。
全裸で浮いてるとか理解不能だよ!
「…………」
全裸のセフィリアは、自分の手や体を見ている。
しかも浮いたままで。
「……ふふ、ママとひとつになった」
ひいっ、なんかつぶやいたら自分で自分を抱きしめているよ!
ナルシストなの……?
って、ちょっと待った!
ママとひとつって、もしかしてひなとセフィリアが合体しちゃったって事……?
それじゃあもう、セフィリアは戻ってこない……?
そんなの駄目だよ!
どうにかしないと……!
そう思ったあたしは、エレナを何度か見た後に立ち上がり、空中に浮いたままのセフィリアを見つめた。
「……その顔、まだひなと戦うの?」
「出来れば戦いたくはないかな。セフィリアを返して欲しいだけだよ」
「ママはひなのものだ! 誰にも渡さない!!」
「セフィリアは誰のものでもないから!」
やっぱりそうなるんだね……。
ええい、もうこうなったらとことんやってやる!
あたしだって諦めてたまるか!
あたしとエレナとセフィリアで……、無事に帰るんだ!
「深淵と天上にまで届く永久の親愛」
ひなは浮いたままそうつぶやく。
すると、ひなの体は白く輝きだし、目が眩んだあたしは思わず手で隠した。




