表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
401/420

48-2

「ママは見てて、ひながやっつけるから」

「ありがとう……」

 魔法力1憶以上……。

 う、うーん。どうしよう。


大地と天空に(アクセプト)広がる愛の結晶(・オブ・ラヴァー)!」

 ひながそう高らかに叫ぶと、ひなの体が七色に輝きだした。

 そして、手足の先からたちまち光を周囲にまき散らしながら衣装チェンジが行われていき……。


 ちょ、ちょっと!

 まさか……、これって!!


「あはっ、エステレラだよ☆」

 変身が終わったら目元にピースした手を当ててる。


 このタイミングでまさかの変身バンク!

 しかもその衣装って……、あたしと同じ形でピンク色……。

 もしかして勇者だった頃のひなと同じ?

 ってちょっとまった!

 身長も伸びてる……というか、成長した!?

 変身後の姿、あたしと同じくらいの年頃の女の子になってるよ!

 (しかもあたしより胸大きい)

 そんなのありなの!?


「戦乙女の聖剣!」

 ひっ、間髪入れず襲ってきた!

 しかもあれ、勇者の力……!

 防がなきゃ……まずい!!


「勇者の剣!」

 ……どうにかぎりぎりで防げたんだけども。


「ぐっ……」

 ううっ、すごい力。

 前にティエラと戦った時よりも強い力で……お、おされるっ!!


「うわあっ!!」

 ふっ飛ばされた!

 ひいいいっ!!


「ゆき!」

「いたた……」

 エレナが受け止めてくれたおかげでどうにか地面に激突はしなかった。

 だけども……。


「大丈夫か?」

「う、うん……」

 ひなの攻撃をどうにか防いだけども、剣を交えて分かった。

 あたしなんかじゃどうあがいても太刀打ち出来ない、勝ち目がないって事に……。


「さっきの攻撃、やるか?」

「うん」

 そうだよ!

 エレナの魔法と勇者の力の組み合わせ!

 あの鉄壁の防御を誇っていた大砲にだって勝てた!


「エレナ!」

「おう、やるぞ!」

 だったら今のひなにだって通用する!

 魔法力1憶以上がなんぼのもんじゃいっ!


 エレナはあたしの勇者の剣に魔法を付与していく。

 元々青白く輝いていた剣は、エレナの魔法を受けて黒く変色し、暗雲の中の雷のように時折ビリビリと電気のようなエフェクトが走るようになった。


「やあああ!! ダークマターブレード!!」

 よし!

 これならきっと!!

 いっけえええ!!!


「ぐっ」

 この力、ドーム状のバリアってまさか勇者の結界?

 ひなも使える!?


「ひなにはそんなの効かないよ。守護神の結界」

 か、かたい……。

 ひなの表情は平然としている……。

 これって、言ってる通りまるで効いてない?


 あたしはまた吹っ飛ばされる前に、後ろに引いた。

 直後、ひなは結界を解くと再び剣を生成してこちらの様子を伺っている。


「くそ、合体攻撃も効かないか」

「うん……」

「魔法力1憶は伊達じゃねえな」

 今までだって勝ち目のない戦いがあって、どうにか乗り切ってきたけども。

 今回はさすがに打つ手なし……かな?


「どうする? 逃げるか?」

「セフィリアを放っておけないし、ここで逃げたら一生後悔すると思う」

「だな」

「やれるだけやってみる! 勇者の鎖剣!!」

 まだあきらめない、1憶だろうが10億だろうがやってやる!

 困るのは全てやりつくしてからでも遅くないもの!


 あたしの思いに呼応するかのように、伸びた鎖剣はひなをグルグル巻きにしていき……。


「やった! 捕まえた! エレナ、今のうちに!」

「おう!!」

 これで動けなくなった!

 たとえ魔法力が高くたって、無防備な状態なら魔法だって効くはず!


 この隙に攻撃しよう作戦!

 さあ、上手くいけば……!


「こんなのでひなを縛ったつもりなの?」

 と思ったのも束の間。

 ひなは両手を広げると、縛っていた鎖剣はこなごなに砕けてしまった。


「ならこれでどうだ! 勇者の螺旋槍!!」

 破られるなんて、想定の範囲内だよ!

 だから間髪いれずにあたしは回転する槍で攻撃してやる!!


「ゆき! これも受け取れっ!」

 !!

 エレナの援護魔法が!

 あたしの螺旋槍が薄緑色の竜巻に覆われ、所々ビリビリしたエフェクトが出ている。

 これって、風と雷の力が加わってる!

 大砲を破壊した時と同じだ!


「いっけえええ!!!」

 この貫通力なら、たとえひなであっても防ぎきれないはず!


 あたしは槍を突き立てたまま、ひなへと突っ込んでいく。

 ひなはまるで避ける気配を見せず、やがて回転する槍はひなへと当たり……。

 そのまま貫くはず……だった。


「うそっ!」

「無駄だよ」

 しかし、槍の先端はひなの手で握られてしまった。

 今までの回転も、あたしが突っ込んで勢いも、全部殺されてしまいその場にぴたっと止まってしまう。


 そ、そんな!

 鎖剣や螺旋槍も駄目だなんて!


「ゆき! 引け!」

「う、うん」

 そ、そうだ、このままぼうっとしてちゃ駄目だ。

 すぐ距離を離さないと!


「……あいつ、本当に強いな」

「うん」

 強いなんてもんじゃない。

 圧倒的すぎる!

 あたしじゃどうしようもない……。

 ひなを倒す事も、セフィリアを救う事も諦めないといけないの?


 …………。

 …………。


 ううん!

 あきらめるなあたし!

 なにかきっとあるはず!

 なにか……、なにか……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ