47-4
まるで濁流のような光はあたしとエレナを飲みこんだ。
あたしはそれに流されないよう、存在を消されないよう必死に抵抗した。
魔法で大切なのは、イメージする事。
奇しくも今敵として戦っている学園長が教えてくれた事を信じ、防いで無事に生還すると強くイメージした。
その結果。
「あぶねえ、どうにか防ぎきった……」
「助かった……」
「すまんな。ゆき」
「ううん」
やがて光がおさまり、後ろを振り向くと無傷のエレナが目の前にいた。
「でも、なんて魔法力だ」
「うん」
だけど、次も同じように防げるかどうかなんて保証はないよ。
手はビリビリとしびれているし、あたしが結界を張った場所以外の光の通り道は、真っ黒になってる。
後ろの壁も同じように黒くなっているけども、壊れている様子はなさそう。
「……もう諦めて立ち去りなさい。あなた方を傷つけたくはありません」
「よく言うぜ……」
「ごめんなさい学園長。あたしはセフィリアを救いたいです」
「まあ、そういう事だ」
たとえどんな魔法を使っても、あたしは仲間のセフィリアを取り戻したい。
その気持ちは変わらない。
「何故……、どうして……」
「これ以上の会話は無意味だろう? いっとくが時間稼ぎはさせないぞ」
「…………」
「あんな魔法、そう何度も使える代物じゃないからな」
「お見通しですか」
そっか!
さっき120%とかどうとか言ってたよね。
魔法力を溜めるのに時間がかかるから、今は無防備って事!
それなら!
あたしは手に意識を集中させ、剣を生成して大砲へと向かおうとした時。
「火門アルヘナ、水門ワサト、風門プロプス、地門テジャト。私達を守りなさい」
ちょ、ちょっと!
大砲の後ろからなんか4つ出てきたんだけども!
確かに今ある2つよりかは全然小さいけど……、なんか宙に浮いててめっちゃこっち向いてる。
……これって、RPGでよくあるボスの本体を守るパーツというか、ビットみたいなあれだよね。
「くそ、あれで時間稼ぎする気か!」
なるほど、あのビットで守りつつ魔法力を溜めているってわけね。
だったら、なるべく早めに倒さないといけない!
「勇者の螺旋槍!!」
だから、あたしの力で最も攻撃力がある武器、回転する槍で一気にやるしか!
そう思い、あたしは螺旋状の槍を生成すると、それを回転させて空中を漂うビットに向かって大きく跳躍した。
「テジャトの魔法、ダイアモンド・シールド」
当然、ビットも応戦してきた。
学園長の指示と共に、ビットは半透明の結晶状の盾を生成した。
あたしの螺旋槍は結晶の盾とぶつかると、甲高い金属音を周囲に響かせた。
よし、このまま掘削して……!
ビットもまとめて貫いて……!!
く……。
うぅ……。
か、かたい!
全然削れない!!
か、回転が……、止められた!
だ、だめっ、いったん引こう!!
「いくぞ!」
続いてエレナが攻撃してる。
雷の矢を飛ばして、一気に破壊しようってわけだね!
アルの魔法力を引き継いでいるから、今のエレナの魔法力はかなり高い。
だったら、あたしのように跳ね返される事はないはず……!
「プロプスの魔法、サイクロン・ウォール」
あたしが攻撃した時と同じだ。
学園長が指示をすると、今度は竜巻状の盾を生成した。
雷の矢は……、竜巻で受け流された……?
そんな!
「くそ……、堅いな……」
「う、うん……」
あたしの勇者の力もまるで通じなかった。
エレナの魔法もかわされちゃった。
ああやって防がれちゃうのなら、百合バーストしても駄目っぽそうだし……。
ど、どうしよう……。
何かいい作戦考えないと……。




