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47-2

 エレベーター……この世界では何というか分からないんだけども。

 ともかく、それに乗ってMA学園の地下へと向かっていき……。


 お、止まったかな。


「ついたな」

「うん」

 先に道がある。

 今までに入ったところない場所だ。


「先進むぞ」

「うん」

 あたしはエレナと手を握りつつ、恐る恐る先へと進んでいく。

 そして扉に突き当たったので、それをゆっくりと開けて中へ入っていき……。


「~~♪」

「ソフィア!」

「学園長!」

 扉の先、難しそうな魔法道具が並んでいる部屋の奥。

 そこに学園長が、鼻歌を歌いながら椅子に座っていた。


「おや、あなた達は……」

「お、おい……」

「それって……」

 座ってるのはわかるんだけども……、その抱いている女の子って……。

 まさか子供……?

 んなわけないよね、たぶん。


「この子はひなです」

 えっ?

 ひなはもう居ないはずだよ?

 しかも、見た目から察するに5歳くらい……かな?

 ひなはあたしと同じくらいだと思ってたけども……。


「さあ、皆さんにご挨拶しなさい」

「ごきげん……よう」

 学園長に抱かれた女の子は、生気の無い瞳でこちらを見つつ、たどたどしく答えた。

「うふふ、よく出来ましたね」

 そんな女の子に対して学園長は、頭を何度も撫でて褒めている。


「な、なんだそれは!」

 ほんとそうだよ!

 ど、どういうことなの。

 わけわからない。


「私の思いはひなにも、ゆきさんにも通じなかった。だから私は、私を受け入れてくれる人を作ったのですよ」

「それが、そいつってわけか……」

「はい。造形はひなとゆきさんを合わせました」

 う、うーん。

 あたしってこんなに可愛くないから、たぶんひなが可愛かったんだろうね?

 …………。

 いやいや、今は卑下してる場合じゃない。

 子供を作ったって!


 あぁ、でもそっか。

 前にもひなを蘇らせるとかで人体錬成やってたっけか。

 で、でもー!

 これってありなの……?


「哀れだな……。100年以上も生きて来た、世界すらも変えたお前の末路がこれとは」

「別に他人の評価なんてどうでもいいんです。私にはこの子さえ居ればいい」

 本当だよ、こんな結末あんまりだよ。

 というか、それだけの行動力があるなら、それこそあたしを洗脳なり記憶操作なりすればいいのに。


「結局、お前は自分のエゴを受け入れてくれる従順な人形が欲しかっただけだったんだな」

「…………」

「それって人を思いやるのとは違うんだよな。結局、誰かが好きな自分が好きなだけだ」

「……だからどうしろと?」

「セフィリアの体を明け渡せ、もうお前の時代は終わりだ」

 ひえ、エレナがめっちゃきつい言い方してる……。

 そんな怒らせるような事言わなくてもっ。


「そ、そこまで言わなくても……っ」

「こうでも言わなきゃ、あいつが納得しないだろ」

「う、うーん」

 そうかもしれないけどもー!

 毅然な態度も大事だと思うけど、逆上したら大変だよ?

 ちょ、ちょっと落ち着こう?


「私は怖いのです。私の愛がまた裏切られてしまうのではないのかと」

「それがエゴなんだよ。傷つくのが怖いだけじゃねえか」

「怖くもなりますよ。2度も裏切られたら……」

 うう、胸が痛い。

 ふった本人だから何も言えない……。


「それで、出て行く気はないのか?」

「ありません。私はここでひなと過ごします」

「駄目だと言ったら?」

「エレナさん。……あなたは残酷な人ですね」

 学園長はそう言うと、ひなを抱きかかえつつ立ち上がり……。


「ひな……。ここで大人しく待っていてね」

「はぁい」

 そう言って、そばにあったベッドへ寝かし……。


「ならば抗いましょう。私の愛は誰にも邪魔させない!」

 そう言い放ち、両手を大きく広げた。


 この時の表情は、今までの穏やかなものとは違い、明らかな敵意と殺意を感じた。

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