46-4
「…………」
あっ、ちょっと!
何も言わずに部屋から出てちゃった……。
うーん。
初めて他の誰かをふったけども、なんだろこの気持ち。
…………。
あっ、そうだった、感傷に浸ってる場合じゃない。
この事エレナとミカエルに伝えないと!
結婚式がそもそも無くなっちゃ、作戦出来ないもの!
そう思うとあたしは、聖百合教の本部を出て行った。
途中で教徒の人に声をかけられたけども、なんとか誤魔化して建物から出て、都を抜けていき。
アルの隠れ家にて。
「――というわけなの」
潜んでいたふたりに状況を伝えた。
「ゆき、よく無事だったな」
「そうですね」
いやあ、本当にそうだよ。
強引に迫られて、あたしがあたしじゃなくなっていうパターンになると思ってたからね。
「だが、セフィリアを取り返す作戦は難しくなってしまったな」
「うーん。今更結婚式するのも不自然だからねえ」
「だなー」
やっぱそうだよね。
何か新しい作戦考えないとなんだけども……、どうしよ?
「……誰かが来る」
「えっ? ここって特殊な結界が張られているって」
「それを突破してきた奴がいた」
ええっ!
それってかなりまずいような。
だって、今まで魔法少女に見つからなかったのに。
「隠れましょう」
ミカエルの言葉の後、あたしたちは近くにあった棚の影へと隠れた。
その直後に現れたのは……。
「やはりミレーユか……」
ひえ、元ランク1の魔法少女!
確か時間止められるんだっけか。
何でここに?
もしかして、あたしを探しに……?
いやでも、都には戻ったから別に捜索とかじゃないような。
そうなると、あたしをさらったミカエルを追ってきたのかな?
ともかく、理由はおいといて。
うーん、どうしよ。
戦って勝て……ないよねたぶん。
「ね、ねえ! 今あの人と戦うのって……」
「分かってるよ。時間操作だろ?」
「なんで知ってるの」
「アルの力もそうだが記憶も引き継いだ。知った時はぞっとしたけどな」
「時間操作……? どういう事です?」
「時を止めたり、進んだり、遅らせたり出来る」
「えっ、止めるだけじゃないの?」
「まあな」
えええっ!
あたしと戦った時は止める事しかしなかったのに!
ますます勝てないね……。
「……隠れていないで出てきたら?」
しかもばれてる!
どうしよ……、このままじゃ……。
「私がいきます。おふたりはここから逃げて下さい」
「ミカエル……」
「ちょっと聞きたい事もありますから、では」
いやいや、ではじゃないよ!
ミカエルでも無理だってー!
い、行っちゃった……。
「ここまで来て何かご用ですか?」
「ミカエルか。ちょうどいい、あなたを探していた」
「ほお、ゆきさんをさらった罪ですか?」
「そうね。でも伝えたい事があって来た」
「なんでしょうか?」
「ウィーンは無事よ、今は逃げられないようにしてあるけど」
「……それを聞いて安心しました」
聞きたい事って、もしかしてウィーンの事だったのかな。
確か、あたしとミカエルが逃げる時に身代わりになったんだっけか……。
「おい、行くぞ」
「う、うん」
ウィーンが生け捕りにされたって事は、ミカエルも命までは奪われないのかな?
うぅ、ともかく無事に生き延びて!
あたしはそう思いつつ、部屋から出て行った。




