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5-9

 あたしとエレナの試験は、本来ならば絶対に勝つ事に出来ないミカエルとウィーンのペアに打ち勝ち、満足な結果を得る事が出来た。

 ……はずだった。


「今回の試験は中止となります。よって、グランドリリィ決定戦進出者も落第者も無しとします」

 あたし達が戦った後、試験会場はぼろぼろでとても使い物にならず。

 また名家の娘であるミカエルの負傷もあってか、試験は中断となってしまった。


「…………」

「…………」

 大けがをして、今はもう気を失ってしまったミカエルとウィーンは、学園内にある医務室へと運び込まれていってしまった。


「ゆきさん、エレナさん。ちょっとお話がありますので、至急私の執務室へ来てください」

「……はい」

「んだよ……」

 確かにやりすぎた。

 ……で、でも!

 相手がこっちを挑発してきたのが悪いんだよ?

 別に頭へこへこしろなんて言ってなくって、エレナの杖を折ったりするのがいけなかったのに。


 そう思いつつも、あたしと不満げなエレナは学園長へとついていった。



 学園長の執務室にて。


「さて……、あなた方が呼ばれた理由はわかりますよね?」

 学園長の顔からは普段の穏やかな笑顔はない。

 真剣そのものであり、それがどういう意味なのかは想像は容易につく。


 だけども、やっぱりあたしは納得が出来ない。

 悪いのはあいつらなのに!


「元々あいつらが――」

 そう思い、ミカエル達の不遜な態度を訴えようとしたが……。

「俺のせいだ。俺がやった」

「エレナ!」

 エレナがあたしの会話に割って入るように、自らの非を認めてしまう。


「ミカエルさんは、この国でもかなり有名な貴族の娘なのですよ。このMA学園の活動にも協力的で、多くの援助をして下さいました」

 たしかに、ウィーンをいつも引き連れているからね。

 他のクラスの子も噂してたけれど、あたしと違って家柄がかなりいいみたいだし。


「彼女にも罪が無いわけではありませんが……、ほどほどにしてくださいね」

 そんな名家の娘にもしもの事があれば……。

 魔法少女としての実力以前に、貴族たちの私刑もありうるってことだよね……。


「はい……。すみませんでした」

「悪かった、気をつける」

 きっとエレナはそこまで察したのかもしれない。

 そう思うと直情的だったあたしの頭は冷えると共に、学園長に迷惑をかけた事に対して頭を下げた。

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