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あたしが理解出来なかった本の内容を読んでくれた……のはいいけども。
「で、これってどういう意味なの?」
うん、さっぱりわからない。
なんか意味深な内容なのは、分からなくもないんだけど……。
「そこは安心してください。わたくしも理解できません」
ミカエルにも分からない!
だったら、あたしが分かるわけないよね!
また冷ややかな目で見られると思ったから、ちょっとほっとしたよ。
「ですが、ひとつ分かった点があります」
えっ、何がだろう。
意味分からないのに、何に気づいたの……?
「今読み上げたこのページだけ、文章の頭が繋がっているのですよ」
んん?
それって……。
「文章の頭を繋げて読むと、”思い出を忘れるな”になります」
まさかの縦読み……?
そんな仕掛けがあったなんて。
てか、それは聞くだけじゃ分からないよね……。
「ですが、その言葉が何の意味を成しているのかは分かりません」
「うーん」
そうだよね。
思い出を忘れるなって言われてもなぁ。
たまたま文章になっただけって可能性もあるし。
「ここだけ文章の感じが不自然なので、意図して隠したとも思えますが……」
意図したと言われてもなぁ。
思い出を忘れるな……ねぇ。
「ゆきさんは、何か心当たりがありますか?」
心当たりと言われても。
何がいいたいのかまるでさっぱり。
「この場所で、何か印象深い出来事とか……」
アルの家で起きた出来事で、あたしに関わってくるのって。
うーん、勇者の伝説の真実とか、あとは……。
あー!
あるよ!!
「初めてここに来た時、クエストで道具を貰いに来たんだ!」
そうだよ!
あたしが魔法少女になってまだ間もない時、学園長から3つ道具を集めてこいって言われて、その中でやたら高価な物があって、それを分けて貰うために来たんだよ!
「確かここにあったような……」
そう言うと、あたしは家の中の引き出しを探した。
「あった! これだよこれこれ!」
今でもあった!
いやあ、なつかしいなぁ。
「赤熱蝙蝠蛾の鱗粉ですね。かなり貴重な品物と聞きます」
「それそれ、売ってても高くってねえ」
あの時は本当、助かったよなあ。
感謝してもしきれないよー。
で……。
これと隠されたメッセージと何の関係があるんだろ。




