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んん……。
なんだろう、口に何か柔らかくてあたたかいのが触れてる気がする。
「……ん?」
あれ?
この顔……。
って!!!
「うわあっ!!」
み、ミカエル!
なんでここにいるの!
しかもあたしにキスしてるし!!
もー、どういうことなの!
「目覚めたようですね」
な、なに、意味わかんない。
おはようのキスしたの?
いや、あなたそんなキャラじゃないでしょ……。
ん?
普段は綺麗にしてるのに、髪ぼさぼさだ。
どうしたんだろ?
セット忘れた……なわけないよね、あたしじゃあるまいし。
「良かったです。正気に戻って」
いやだから意味わかんないって。
あたし、なんかずっと寝てたような、夢を見てたような感じだったけども。
…………。
…………。
んん?
なんか動きにくい……。
「ええええええ!! 何この格好!!!」
ちょ、ちょっと!
これって、ウェディングドレスじゃん!!
なんであたしがこれ着てるの……。
「順を追って説明しますから、落ち着いて聞いてください」
「う、うん」
というわけで、あたしはミカエルの方を向いて、今までに何があったかを聞いた。
「――というわけです。お分かりになりましたか?」
「…………」
えっと、ひなと百合バーストして、セフィリアに乗り移ったソフィア学園長が百合の世界を作って、それであたしと結婚しようとした。
ミカエルはそれを阻止して、今に至ると。
うーん。
わからん。
「じゃあ、エレナも行方不明のままって事だよね?」
「エレナさんというのですね、その方は」
しかも、エレナの事を忘れているなんて!
なんでだろ……、学園長の魔法の影響なのかな。
と、ともかく!
今やるべき事は。
「えっと、魔法少女に変身してもいいかな? このままじゃ動きにくくて」
そうなんだよ。
そりゃぁ、ウェディングドレス着れるのはいいんだけども///
腰回りぎゅっとしていて苦しいし、生地が伸縮しないからなんか動くたびにつっぱってる感じするし、姫袖が邪魔だし……。
「ええどうぞ」
「目覚める白雪の純粋な思い!」
ミカエルの返事の後、ゆっくりと立ち上がったあたしは、魔法少女に生まれ変わるという意識を強く持って……。
「えへっ、エステレラだよ☆」
ピースサインを目元にピシッとあててっと!
うん、決まった。
最初はフリフリな衣装だなぁと思ってたけども、意外と動きやすいんだよねこれ。
「さて、ゆきさんはどうにか目覚めましたが……」
「うん。このまま戻っても駄目なんだよね」
「そうですね」
うーん。
元々百合百合な世界だなぁとは思ってた。
でもまさかこんな事になるなんてねえ。
それに、お婿さんがエレナじゃなくてセフィリアってのも気になるし。
「今後の事を考えましょう」
「うん」
とりあえずは作戦会議かな?
何か力になれればいいんだけども。




