44-7
ミカエル視点。
口づけが成功した……。
これで、闇が?
どうなるというのです?
!!
光が溢れていって……。
これは、どういう……。
「念願、成就したり」
光にみんな飲みこまれていく中で……。
その中を悠然と歩くのは……、セフィリアさん?
あなたは一体。
「この世界の特異点は3つ」
特異点?
何を言っているのです?
「最初の特異点で、この世界は百合に目覚めた」
「2つめの特異点は、百合に染まった世界を元に戻そうとして、不完全ながら戻る事が出来た」
「そして3つめの特異点で、再びこの世界を百合に染める」
百合というと……、ゆきさんの趣向……?
どういう事です?
まるで何も理解できない。
「ウフフ、嬉しすぎて思わず喋ってしまいました。もっとも、この声は誰にも届かない」
周囲の人には聞こえていない……?
「さあ、始めましょう。私とあなたの永遠の愛を!!」
それに、セフィリアさんの様子がどこかおかしい。
これは……。
「法則改変、世界変革の究極魔法ネオ・ユリバース発動」
!!
勇者の手記にあった単語!!
「これで、私の理想世界が完成する……」
その言葉をセフィリアさんが言った瞬間、幻は乱れて消えてしまった。
「なんと……」
正直全てを理解するには無理でした。
ただ、はっきりとした事。
それは、セフィリアさんが、この世界を変えてしまったという事!
「…………」
ですが、わたくしにどうしろと。
世界が本来あるべき姿ではない、それを知ったところで対抗手段はありませんし、助けを求めようとしても誰も助けてはくれない。
分かったところで、待っているのは絶望……。
「…………」
木陰で座っているゆきさん。
過去の記憶の幻を見ても、その様子はまるで変わる事はありません。
今も虚ろなまま、まるで意識だけ遠い世界にあるような。
…………。
…………。
むっ。
もしかして。
世界を変えた魔法が、百合バーストに起因するならば。
「…………」
わたくしは、座っているゆきさんへと近づいていき。
「ゆきさん」
「…………」
「恐らく不本意ではあるでしょうが、許してください」
そして、何も返事もしないゆきさんへと口づけをした。




