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44-4

ミカエル視点。

 都内の裏路地にて。


「はぁっ、はぁっ……」

「…………」

 わたくしはなんて事をしてしまったのでしょうか。

 ともかく、逃げなければ。

 走って、走って、今は少しでも都から離れないと。


 …………。

 …………。



 都を出た、平原にて。


「はぁっ、はぁっ……」

「…………」

 実に愚かで、馬鹿馬鹿しくて、自殺にも等しいのに。

 捕まれば、何もかもが終わってしまうのに。

 そう思いつつ、走り続けた。


 …………。

 …………。



 都から離れた、森林地帯にて。


「はぁっ、はぁっ……」

「…………」

「……ここまで走ってくれば、大丈夫でしょうか」

「…………」

「魔法の力で体力を一時的に増強しましたが、中々疲れますね」

「…………」

 ある程度身を隠せますね。

 走りっぱなしだったから、少し休まないと。


「ふぅ……」

 結局、違和感の正体に気づけなかった。

 でも、体が勝手に動いていた。

 どうしてでしょうか、実はわたくしらしくありませんのに。


「ゆきさん、大丈夫ですか? ご気分はどうですか?」

「…………」

 半分だけ口を開き、光の無い瞳でどこか遠い景色を見ている。

 まるで人形のようですね……。

 あれだけ明朗な方だったのに、一体何が……。


「…………」

「…………」

 わたくしは顔にかかった髪を手で払い、ゆきさんと同じ様に遠くを見つめた。


 これから、どうしましょうか。

 お父様、ウィーンさんは無事でしょうか……。


「…………」

「…………」

 このまま逃げ続ける?

 どこへ?

 100年以上も闇に閉ざされた世界を、新たに開拓?


「…………」

「…………」

 ですが、仮に開拓したとしても。

 今頃花嫁であるセフィリアさんが必死になってゆきさんを探している。

 それこそ、魔法少女たちを使って……。


 そんな魔法少女たちから、一生逃げ切れる?

 逃げきれなかったら、戦う?

 わたくし程度の魔法力で?

 無謀ですね。


 ともかく、今後の身の振り方と安全な場所を探さねば。

 そう思っていた時。


「見つけたよ」

「!! 誰ですか!!」

 木陰から声が……!!

 この声、もしかして……!!


「あなたは……、ミレーユ!!」

 なんてことでしょうか。

 よりにもよって、この人に見つかるなんて!!


「とんでもない事をしたね。あなたらしくない」

「…………」

「大人しく捕まる? 戦う? あまり非効率なのは嫌いだからすぐに決めて」

 捕まればゆきさんをさらった意味が無くなってしまう。

 かといって、戦って勝てる相手ではない。


 ……どうすれば。

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