5-7
ミカエルの攻撃に耐え切れず、もうくじけそうになった時だった。
「おりゃあ!」
あたしの後ろから光弾が飛んでいき、それらはミカエルへとぶつかり大爆発を引き起こす。
そして爆風がおさまると、そこには結界を張って攻撃をしのいだ、無傷のミカエルの姿があった。
「え、エレナ……」
「ふう、見てらんないな」
エレナの攻撃を防ぐために、ミカエルは攻撃を止めて防御に回ったってわけだ。
助かったよ、さっきのは危なかった。
「ごめん……、役立たずで……」
あたしは成長した。
それでもSランクのミカエルにはおよばなかった。
攻撃魔法は相変わらず出来る気しないし、防御も駄目だったらあたしなんてもう……。
「あ? 学園長の作戦で駄目だったら、何やっても駄目なんだろ? 別にお前のせいじゃねーよ」
エレナはそうやって励ましてくれるけども。
やっぱりあたしは申し訳ないよ……。
うう、こんなに頑張ったのにここまでなのかなぁ……。
「あいつ……、腹立つけどやっぱつええわ」
どうやらミカエルの強さは認めているようで、エレナは舌打ちしながらもそうぼそっと言った。
「次で終わりにします。80%ピアシング・セイントファイア!」
いけない!
もうあたしじゃ防げないよ!
だったらせめて、エレナだけでも無事に……!!
閃光が周囲を包み、あたしの周りは真っ白になっていく。
光が全てを満たし、音も触感も、何もかもが消えていくような感じが強く……。
…………。
…………。
…………。
…………。
「ふう、少々やりすぎてしまいましたね」
「さすがですミカエル様」
「減点にならなければよいのですが……」
二人の勝ちを確信した声が聞こえてくる。
あれ?
あんなの受けたらあたしなんて再起不能待ったなしなのに。
生きてる……、むしろ無事……?
でもくちびるに何か違和感が……。
「む」
「お、お前ら……!」
「んふぅ……」
「んんっっ!!!」
エレナの顔が近い。
あたし……、あたしは……。
えっ?
キスしてる……?
「うわああああ!!!」
「うへえええ!!!」
ひええええ!!
な、ななななんでちゅーしてるの!!
なんでどうして??
あたしは咄嗟にエレナから離れると、エレナも飛び起きあたしから離れると、くちびるを手で当てながら感覚を確認しだす。
もしかして、あたしが盾になろうと咄嗟にエレナを庇った時に、どさくさに紛れてちゅっちゅしちゃった?
うそでしょ!!
そんなラッキースケベ展開ある!?
「な、なにしやがる!!」
「ご、ごめん! ごめんなさい!!」
ひえええ、顔が真っ赤になってる!
ごめんなさいごめんなさい!!
なんかもう……ごめんなさい!!!
「あなた達というのは、どこまでもふざけてますね」
この茶番劇を見ていたウィーンは呆れており、ミカエルは体をぷるぷると震わせながらこちらを睨みつけている。
あの様子、どうみても怒ってるよ……。
「その行為が、わたくし達魔法少女を侮辱していると知りなさい!! ギガ・セイント・ブレイズ!!」
ミカエルはそう叫びながら杖を高く天へとかざす。
すると彼女の頭上には巨大な炎の塊が現れた。
そしてミカエルは杖を振り下ろすと、巨大な炎の塊はこちらへ落下してきたのだ!




