43-5
「さようならだ、最悪な奴ら。最低な世界」
まずい!
エレナがまた闇の力を溜め始めた!!
このままじゃ……、このままじゃ……!!!
「ぐっ!!」
えっ、これって……。
さっきは黒緑色の光の帯だったけども、今度は白紫色……?
「な、なんだと!」
「私もあれから成長していないとお思いでしたか?」
「く、くそっ!」
しかも、今回はエレナに引き裂かれる事もなく、そのまま体をぐるぐる巻きにしちゃった……。
溜めていた闇の力も粉々に砕けちゃったし、これってもしかして!!
「アルさん! ゆきさんの拘束を!」
「う、うむ」
アルが魔法で、あたしの拘束を解いてくれた!
縛られていたところがちょっと痛むけど、十分動けるや。
「さあゆきさん! 今のうちです!!」
「やめろ……、近づくな!!」
だったらもうやるしかない。
あたしの最高の魔法、百合バーストを!
「ゆき! お前は何も分かってない!!」
エレナ、今あなたを闇から解放してあげるね。
「お前は騙されているんだぞ!!」
きっと辛かったんだろうね。
苦しかったんだろうね。
「ひなのいう事が全部正しい! だからこんな真似はやめろ!!!」
でももう大丈夫だよ。
あたしがいるから、あたしがエレナを救うから。
「ちくしょう!! ソフィアーーー!!!!!」
「ん……」
「ふぐぐっ」
エレナ、やわらかいなぁ。
学園生活してた時と何も変わらない。
あぁ、しあわせ。
あたし、すごくしあわせだよ。
「……やったか?」
「…………」
アルの声が聞こえ、セフィリアが無言のまま見守っている最中。
少しの静寂を経た時。
!!
膨大な光が、あたりを包んでいって……!!
なにもかも……、飲みこまれていく!!
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
あれ?
なんだろう、この感覚。
…………。
…………。
たしか、エレナに百合バーストして。
それから光に包まれて……。
…………。
…………。
じゃあここはその光の中なの?
でも、なんだか海の中に漂ってるような感じ。
…………。
…………。
意識ははっきりとしているんだけども。
体の自由はまるできかない。
「念願、成就したり」
ん?
この声……、セフィリア?
近くにいるの?
…………。
…………。
「法則改変、世界変革の究極魔法ネオ・ユリバース発動」
その単語……。
ひなの日記に隠された文字。
世界変革?
究極魔法?
何言ってるの……。
「これで、私の理想世界が完成する……」
セフィリアがそう言い残すと、今まで感じてた、海の中をたゆたうような感覚もしなくなっていた。
感覚だけではなく、声も聞こえなかった。
だからあたしは、意識そのものが消えたのだと認識し、何も迷わず無に身を委ねた……。




