42-12
「く、くぅ……」
アルの力とひなの力がどんどん強くなっていってる。
風もすごいし、眩しくって手で目元隠さないと……!
「アルキメディス……!!」
「ひな……!!」
何も見えない。
でも力の押し合いが続いている……?
このままどうなっちゃうの?
「あなた……!! やはり!!」
んん?
この声、ひな?
「ああああああ!!!!」
ひなが……叫んでいる?
何が起きているの?
もしかして……?
…………。
…………。
光の力が闇の力を飲みこんで……。
そのままひなと闇の核を巻き込み……。
この感じ、見なくても分かる。
まずい!
爆発する!!
「あたしとセフィリアを守って!! 勇者の結界!!」
あんなエネルギーの塊が爆発したら、ただじゃすまない。
だから結界を張って……きゃあ!!
結界が壊された……!
巻き込まれる……!!!
「エレナーーー!!!!」
闇の力を飲みこんだ光の力は、たちまち膨張すると一瞬の静寂の後に大爆発をひきおこした。
真っ白な光が、甲高い音が、周囲を飲みこみ……。
あたしの思考は停止した。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
ん……。
んん……。
あれ?
どうなっちゃったんだろ?
空……、すごく青い。
綺麗な空、雲ひとつないや。
ん?
雲がない?
空が見える?
「もしかして!!」
あたしは上体を起こし、周囲を見回した。
ヘイルシスターズが作ってくれた氷のトンネルが跡形もなく消えていて……。
周囲の闇が……消えている!
「エレナ!!」
「……悪いな、アルだ」
「みなさん無事でしたか……」
「セフィリア!!」
みんなも無事!
よかった。
でも、そうすると……。
「ねえ、ひなは? 闇の核は?」
「……全部消えたみたいだな」
百合バーストしたアルの力が闇の核やひなを倒したんだ。
だから世界から闇が晴れたんだね。
!!!
じゃあ、捕らわれていたエレナは!!
エレナも無事に戻ってくるはず!!
でも、まだアルが居る。
という事は……。
「じゃ、じゃあもしかして……?」
「……すまない」
まさかあの爆発に巻き込まれた……?
うそ……。
エレナ……、死んじゃった……。




