42-10
「アル危ない!」
「おいおい、私を誰だと思っている?」
いやいや!
そんな余裕見せている場合じゃないよ!
めっちゃ無防備だし、こうなったらあたしが勇者の盾で……!
そう思った時。
「ふんっ!」
うおっ、なんか気合入れて両手を広げたら結界みたいなのが出た!
しかもそれで襲ってきたひなを弾いちゃったよ!
す、すごい……。
「あの時より強くなったね」
「まあな」
弾かれたひなも、大してダメージはなさそう。
元々がドロドロの闇だから、物理的な攻撃はやっぱ効かないのかも。
でも!
あたしの攻撃なら!
「アル、あとはあたしに任せて!!」
この勇者の螺旋槍で貫けば!
思いっきり踏み込み、そして強く蹴ってひなへ一直線に向かう!!
いっけえええ!!
「…………」
おお!
貫けた!
しかもひなの形をした闇がぐしゃってなって、すぐに粉々になったよ!!
聞いてる聞いてる。
「なるほど、その力なら闇を消滅させる事が出来るのか」
あ、あれ?
言ってなかったっけ……?
あぁ、実際に見るまでは信じないとかそういう感じかな。
「魔法少女の魔法では、闇を追い払う事は出来ても消滅させる事は不可能だからな」
「そ、そうなの?」
「なんだ、知らなかったのか」
い、いやだって。
そんな事一切聞いてなかったよ!
学校でも習わなかったし……。
「正直、私がエレナの体であっても勝算は低かったが、……今なら確実に勝つ手はある」
おお!
なんかめっちゃ自信ありそうな感じ!
何かいい作戦でもあるのかな?
「ゆき、私と百合バーストをするんだ」
あっ。
やっぱりそうですよね。
うん、まぁ薄々気づいてた。
「百合バースト! その力のせいで……!!」
げげっ、さっきやっつけたと思ったらまた地面から闇が湧いてきて、ひなの姿になったよ!
もしかしてあれって無限に出てくる……?
しかも、百合バーストって聞いたらめっちゃ怖い顔してるし。
な、なんでなの。
ひなだって魔王とゆりゆりしてたのに!
何であたしは許されないの……。
「さあ、ひなは待ってくれないぞ」
う、うん。
いつ攻撃してくるか分からないからね……。
「……じゃあ、いきます」
「頼むぞ」
うーん。
見た目はあたしの旦那様なんだけども。
中身が違うせいでやっぱこうしづらいというか、なんというか。
ええい!
迷うなあたし!
エレナのためにやるんだ!!
それに、見た目はエレナだし……///




